パリで人気を博したドビュッシー展、待望の巡回展。ここでは、3つのキーワードを軸に、展覧会の様子をレポートします。
オルセー美術館蔵
©Musee d'Orsay, Dist. RMN / Patrice Schmidt / distributed by AMF
19世紀末パリの芸術的空気
「ドビュッシー展」といっても、今回の展覧会は、単にドビュッシーが所蔵していた品々を並べただけの展覧会ではありません。ドビュッシーと同時代のパリに生きた画家たちの作品を幅広く紹介しています。ルロールやドニ、カミーユ・クローデル(Camille Claudel/1864-1943)といった、ドビュッシーと直接交流のあった画家や彫刻家たちの作品もあれば、直接的には関係はなくとも、世紀末芸術を語る上で重要な、バーン=ジョーンズ(Edward Burne-Jones/1833-1898)などの作品も出品されています。また、当時のパリを席巻し、ドビュッシーも大きな影響を受けた「アールヌーヴォーとジャポニスム」にもフォーカスされています。
つまり、この展覧会はドビュッシーを軸として、19世紀末パリの知的・文化的空気そのものを再現した展覧会なのです。
パリ展+ブリヂストン美術館所蔵の名画
「ドビュッシー、音楽と美術」展はオルセー美術館とオランジュリー美術館の共同企画。今年の2月22日〜6月11日までパリのオランジュリー美術館で開催され、人気を博した展覧会の内容を、ほぼ、そのままのかたちで持ってきたのが、今回のブリヂストン美術館での巡回展です。
“ほぼ、そのままのかたち”とはいえ、東京展のみに出される作品もあるなど、いくつかの違いもあります。中でも、最大にして最上の違いといえば、東京展には、ブリヂストン美術館の作品が28点加わっているということでしょう。
オルセー、オランジュリーの名品が並ぶ今回の展覧会ですが、それらの出品作と並べてなんら遜色のない、あるいはそれ以上のブリヂストンの“傑作”をプラスしたのが、東京でのドビュッシー展の最大の特徴です。
美術鑑賞+音楽鑑賞
いつもはオーディオ・ガイドを借りる習慣のない方も、今回は、ぜひ、お使いになってみることをお勧めします。作品の解説に加えて、ドビュッシーの名曲の数々が収録されているのです。中には、ドビュッシー本人の演奏によるピアノ曲など、歴史的に貴重な音源もあります。これは、ドビュッシーが作った唯一のオペラ「ペレアスとメリザンド」を紹介するコーナーで流れるので、ぜひ、注目してみてください。
音楽ファン、美術ファンの枠組みを超えて、楽しめるユニークな展覧会。この夏、一度、訪ねてみませんか?
[FIN]
- 会期
2012年7月14日(土)〜10月14日(日) - 会場
石橋財団ブリヂストン美術館 - 所在地
東京都中央区京橋1-10-1 - Tel
03-5777-8600(ハローダイヤル) - URL
http://www.bridgestone-museum.gr.jp/ - 開館時間
10:00-18:00
(祝日を除く金曜日は20:00まで)
*入館は閉館の30分前まで - 休館日
月曜日
*ただし、9/17、10/8は開館 - 観覧料
一般:1,500円
シニア(65歳以上):1,300円
大学生・高校生:1,000円
中学生以下:無料
*開催情報は変更となる場合があります。最新の情報は、公式サイト、ハローダイヤルでご確認ください。
*情報はMMMwebサイト更新時のものです。予告なく変更となる場合がございます。詳細は観光局ホームページ等でご確認いただくか、MMMにご来館の上おたずねください。