石橋財団ブリヂストン美術館「ドビュッシー、音楽と美術 - 印象派と象徴派のあいだで」Debussy La musique et les arts

パリで人気を博したドビュッシー展、待望の巡回展。ここでは、3つのキーワードを軸に、展覧会の様子をレポートします。

キーワードで紐解く ドビュッシー展レポート

キーワード1

▲参考画像 作者不詳《ショーソンとルロールのそばでピアノを弾くクロード・ドビュッシー、セーヌ=エ=マルヌにて》
オルセー美術館蔵
©Musee d'Orsay, Dist. RMN / Patrice Schmidt / distributed by AMF

19世紀末パリの芸術的空気

 「ドビュッシー展」といっても、今回の展覧会は、単にドビュッシーが所蔵していた品々を並べただけの展覧会ではありません。ドビュッシーと同時代のパリに生きた画家たちの作品を幅広く紹介しています。ルロールやドニ、カミーユ・クローデル(Camille Claudel/1864-1943)といった、ドビュッシーと直接交流のあった画家や彫刻家たちの作品もあれば、直接的には関係はなくとも、世紀末芸術を語る上で重要な、バーン=ジョーンズ(Edward Burne-Jones/1833-1898)などの作品も出品されています。また、当時のパリを席巻し、ドビュッシーも大きな影響を受けた「アールヌーヴォーとジャポニスム」にもフォーカスされています。

 つまり、この展覧会はドビュッシーを軸として、19世紀末パリの知的・文化的空気そのものを再現した展覧会なのです。

▲ジャポニスムに焦点を当てた展示室。ドビュッシーによる楽譜の書き込みが残る日本の扇子なども展示されている
▲《海―3つの交響的スケッチ》
1905年 楽譜 個人蔵
ドビュッシーの代表曲「海」(1905年)の楽譜の表紙で、葛飾北斎の《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》がモチーフになっている。

キーワード2

パリ展+ブリヂストン美術館所蔵の名画

 「ドビュッシー、音楽と美術」展はオルセー美術館とオランジュリー美術館の共同企画。今年の2月22日〜6月11日までパリのオランジュリー美術館で開催され、人気を博した展覧会の内容を、ほぼ、そのままのかたちで持ってきたのが、今回のブリヂストン美術館での巡回展です。

▲モネ《黄昏、ヴェネツィア》(左)とボナール(Pierre Bonnard/1867-1947)《ヴェルノン付近の風景》など、ブリヂストン美術館の名品が展覧会に華を添える

 “ほぼ、そのままのかたち”とはいえ、東京展のみに出される作品もあるなど、いくつかの違いもあります。中でも、最大にして最上の違いといえば、東京展には、ブリヂストン美術館の作品が28点加わっているということでしょう。

 オルセー、オランジュリーの名品が並ぶ今回の展覧会ですが、それらの出品作と並べてなんら遜色のない、あるいはそれ以上のブリヂストンの“傑作”をプラスしたのが、東京でのドビュッシー展の最大の特徴です。

▲クロード・モネ《嵐、ベリール》
1886年 油彩、カンヴァス 65.4×81.5cm
オルセー美術館蔵
©RMN (Musée d'Orsay) / René-Gabriel Ojéda / distributed by AMF
▲クロード・モネ《雨のベリール》
1886年 油彩、カンヴァス 60.5×73.7cm
石橋財団ブリヂストン美術館蔵

キーワード3

美術鑑賞+音楽鑑賞

 いつもはオーディオ・ガイドを借りる習慣のない方も、今回は、ぜひ、お使いになってみることをお勧めします。作品の解説に加えて、ドビュッシーの名曲の数々が収録されているのです。中には、ドビュッシー本人の演奏によるピアノ曲など、歴史的に貴重な音源もあります。これは、ドビュッシーが作った唯一のオペラ「ペレアスとメリザンド」を紹介するコーナーで流れるので、ぜひ、注目してみてください。

 音楽ファン、美術ファンの枠組みを超えて、楽しめるユニークな展覧会。この夏、一度、訪ねてみませんか?

▲オペラ「ペレアスとメリザンド」に関する展示品が並ぶ部屋
▲印象的な青い壁紙は、パリ展のときと同じ色

[FIN]

Update : 2012.9.1
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ドビュッシー、音楽と美術 印象派と象徴派のあいだで

  • 会期
    2012年7月14日(土)〜10月14日(日)
  • 会場
    石橋財団ブリヂストン美術館
  • 所在地
    東京都中央区京橋1-10-1
  • Tel
    03-5777-8600(ハローダイヤル)
  • URL
    http://www.bridgestone-museum.gr.jp/
  • 開館時間
    10:00-18:00
    (祝日を除く金曜日は20:00まで)
    *入館は閉館の30分前まで
  • 休館日
    月曜日
    *ただし、9/17、10/8は開館
  • 観覧料
    一般:1,500円
    シニア(65歳以上):1,300円
    大学生・高校生:1,000円
    中学生以下:無料

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