21世紀のパリで出会う活気ある江戸の光景

ライデン国立民族学博物館所蔵
©Museum Volkenkunde, Leiden/Musée national d'Ethnologie
現在ゴッホ展と並行して「ピナコテーク1」で行われているのが、この「広重―旅の芸術」展です。フランスでとりわけ知られている日本の浮世絵師といえば葛飾北斎(Hokusai Katsushika/1760-1849)ですが、印象派の画家たちに最も直接的に影響を与えたのは広重と言っても過言ではありません。本企画展は、広重にテーマを絞ったフランスで初の展覧会です。ファン・ゴッホ展との同時開催によって、ゴッホがとりつかれた日本の版画の魅力を再発見できるだけでなく、ゴッホの作品をより深く理解するきっかけを与えてくれます。
展示されているのは、保存状態の極めてよいオランダのライデン国立民族学博物館所蔵の見事な版画のコレクション約200点。《東海道五十三次》、《木曽街道六十九次》を中心とした広重の主要な版画作品を鑑賞しながら、広重の「旅の芸術」の哲学を思う存分味わえます。また江戸時代の駕籠や下駄、歩測計など、旅にちなんだ展示も行われており、江戸の風俗をより分かりやすく肌で感じることもできます。
広重の作品にパリで出会うことで、改めて日本の四季の美しさ、そして江戸時代の生き生きとした風俗の魅力に気づかされました。そうした光景こそが、19世紀にゴッホが夢見た日本の姿だったと意識することで、今までとは異なった視点で広重の世界を楽しむことができるでしょう。
これらふたつの展覧会の開催は私にとって非常に重要です。ファン・ゴッホのように極めて重要なアーティストが、同様に特筆すべきアーティスト、広重に影響を受けていたという事実を教えてくれるものだからです。またフランスでそれほど知られていない広重を知ってもらう機会であり、同時にゴッホの作品を新たな切り口で読み解く機会だと思っています。日本と南仏の存在が、ゴッホを解釈するのに必要不可欠だということに改めて気づかせてくれる展覧会でしょう。さらに現在これらふたつの企画展と同時に、日本で起こった津波の悲劇に追悼の意を表すため、「ピナコテーク2」では、写真家ドニ・ルーヴル(Denis Rouvre/1967-)による被災者のポートレートの写真展を開催しています(2012年10月3日〜2013年3月17日/入場無料)。今年のパリ絵画館(ピナコテーク・ド・パリ)は、日本をテーマにしていると言っても過言ではありません。
私は、今まで日本の方々と一緒に働く機会が数多くあり、日本での展覧会の開催にも頻繁に参加してきました。日本には多くの友人もおり、日本のことが大好きです。日本に対して友好的な企画を実現できたことを心から嬉しく思っています。
[FIN]
- 所在地
ピナコテーク1
28, place de la Madeleine 75008 Paris
ピナコテーク2
8, rue Vignon 75009 Paris - Tel
+33(0)1 42 68 02 01 - URL
http://www.pinacotheque.com/ - 開館時間
10:00-18:30
水曜日、金曜日は21:00まで
2012年12月25日、2013年1月1日は
14:00-18:30 - 入館料
・「ファン・ゴッホ―日本の夢」展「広重―旅の芸術」展 それぞれ
一般:10ユーロ
割引料金:8ユーロ
・常設展
一般:10ユーロ
割引料金:8ユーロ
・共通券(ファン・ゴッホ展、広重展)
一般:17ユーロ
割引料金:14ユーロ
・共通券(ファン・ゴッホ展、広重展、常設展)
一般:22ユーロ
割引料金:18ユーロ - アクセス
地下鉄8、12、14番線Madeleine駅より徒歩1分 - 展覧会情報
「ファン・ゴッホ―日本の夢」展
「広重―旅の芸術」展
2012年10月3日〜2013年3月17日
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