1900年当時のパリの写真や絵画の中で一際存在感を放っているのが、シックに着飾った女性たちの姿です。花飾りの帽子や、エレガントなラインのロングドレス、その裾からのぞく小さな爪先のブーツなど、女性たちの装いがパリの風景に華やぎを与えています。
このセクションではこうした当時のパリジェンヌのモードの世界がテーマ。ジャンヌ・パキャン(Jeanne Paquin)やウォルト(Worth)などの伝説的なパリのドレスメーカーの作品をはじめ、靴や帽子といった小物類が展示されています。いつの時代もパリがモードの都とうたわれる理由が発見できる展示内容です。
近代化によって公共の電力が一般に供給されたことにより、パリの夜の娯楽は飛躍的に発展しました。世界から集まった特権階級や実業家はパリの有名レストランで食事をし、その後キャバレーなどの享楽的なショーに繰り出したのでした。画家のトゥールーズ=ロートレックが踊り子たちを描いたことで有名な「ムーラン・ルージュ」や黒猫がシンボルの「シャ・ノワール」はこの時代に隆盛を極めたキャバレーの代表格。パリの大衆もカフェ・コンセールやダンスホールなどの安価な娯楽を楽しみました。1900年代のパリはまさにベル・エポックの真只中。キャバレーの集まる夜のモンマルトルをはじめ、パリ市内はさまざまなエンターテインメントで溢れていました。
展覧会は演劇、映画などのパリのスペクタクルをテーマに締めくくられます。
当時のパリには劇場が数多く存在し、サラ・ベルナールやイヴェット・ギルベール(Yvette Guilbert/1865-1944)などの人気女優が誕生しました。またスペクタクルの世界に最も大きな衝撃を与えたのは、いうまでもなく映画の登場です。このセクションではSF映画の元祖とも呼ばれるジョルジュ・メリエス(Georges Méliès/1861-1938)の『月世界旅行』を上映。当時の人々の驚きの歓声を想像しながら鑑賞すれば、より一層作品を楽しめるかもしれません。
芸術、モード、美食と、現在も世界中の人々を虜にしているパリの文化。パリが文化の都として愛され続けるのも、ベル・エポックの華々しい名声が今も根強く息づいているからこそでしょう。
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Update : 2014.6.1
文・写真:増田葉子(Yoko Masuda)
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