Français 日本語
ピエールフォン城マダムの連載の一部(10館)が本になりました。 バックナンバーを読む
informations 3 2 1

それでは、城塞を訪ねてみることにいたしましょう。まずは、村と森の素晴らしい眺めを楽しみながら最初の扉まで上っていかなければなりません。そして、道なりに進み跳ね橋をわたって中に入ります。城の真下から城塞を見上げれば誰しもが、その圧倒的なスケールを実感なさるでしょう。

ピエールフォン城は、幅90m、長さ110mの四辺形から成っています。城壁の8つの塔には、それぞれ古代の英雄や中世の騎士の名が冠されています。跳ね橋の入り口を見張るのが、もっとも威風堂々たる佇まいのジュリアス・シーザーの塔です。二つの階層に二重にめぐらされた巡回路を備えた防衛システムによって、この城は堅牢なものとなっているのです。

中庭に到着すると、長さ57mにおよぶ長い回廊のあるルネサンス様式ファサードに驚かされます。柱頭は猿やコウモリ、鳥、オオカミ、狐といった架空の動物たちで装飾されていますが、そのうちいくつかは、中世の有名な小説『狐物語』から取られたようです。

正面前庭の中央には、ルイ・ドルレアンのブロンズ製の騎馬像が堂々と立っています。右手には、ヴィオレ=ル=デュックが新たに建設した礼拝堂があります。ポーチの中央には巡礼者の姿をしたヴィオレ=ル=デュックが、ルイ・ドルレアンとその妻に囲まれて立っています。光あふれるこの礼拝堂は、なんと今現在、確認できる中で、クワイヤの上に特別席がある唯一の建築物なのです。素晴らしいバラ窓が入り口の上に張り出しています。右手にある皇帝の特別席は、皇帝の居室のある主塔とつながっています。

2階の見学は、壮麗なパーティールームからはじまります。その大きさにも色とりどりの装飾にも驚かされます。化粧漆喰や梁のある壁もすべて豊かに色づけされているのですから。天井の板張りの彫刻は植物の世界から着想を得ています。巨大な暖炉のまぐさ石の上には、オルレアン家のヴァロワ朝のシンボルである、二匹のリスが百合の花を取り囲んだ紋章が描かれています。この部屋の唯一の家具は、ヴィオレ=ル=デュックがデザインした彫刻がほどこされた木製の奇妙なベンチです。その背もたれは暖炉の方にも、列席者の方にもどちらにでも倒せるようになっています。

次の間には、城を飾る巨大な彫刻を制作するモデルとして使われた石膏習作が展示されています。そこから、皇帝の部屋に入るとがらりと雰囲気が変わります。部屋は薄暗く、壁は上部に葉や動物が彫刻された上張りで覆われています。窓ガラスの前には、ヴィオレ=ル=デュックが仕事をしていた机と、彫刻家イオレ(1834-1886)作の彫像があります。上張りに隠された化粧室があることに、皆さま気づかれるでしょうか。ここでは、水洗装置に水を供給するために水のタンクが高い位置に取り付けられているのです。主塔の中央にはナポレオン3世の寝室が設けられましたが、一度も使われることはありませんでした。ここには、ステンシルで描かれた花のモチーフや中世の動物、横からみた皇帝の鷲、暖炉のまぐさ石の上には金のミツバチなどの装飾が施されています。カルトゥーシュには、皇帝の座右の銘「願うものは叶えられる」という言葉が書かれています。壁面上部の装飾では、14世紀のある騎士の生涯を物語っており、暖炉の右側の若い時代(教育、戦い)からはじまって、部屋をぐるりと一周取り囲んでおり、まるで劇画のようです。

Update : 2015.8.1

ページトップへ

*情報はMMMwebサイト更新時のものです。予告なく変更となる場合がございます。詳細は観光局ホームページ等でご確認いただくか、MMMにご来館の上おたずねください。