Français 日本語
建築・文化遺産センターマダムの連載の一部(10館)は書籍でもお楽しみいただけます。 バックナンバーを読む
informations 3 2 1

Chers amis,親愛なる日本の皆さまへ

本日は皆さまをシャイヨーの丘に位置し、エッフェル塔への素晴らしい眺めを誇る建築・文化遺産センターへとご案内いたしましょう。その広大な敷地はなんと2.3ヘクタール。シャイヨー宮の「パリ」翼内に、建築センター、建築学校、専門図書館、史料館、美術館(フランス記念建造物美術館)を取りまとめるかたちで誕生した、世界でもっとも大規模な建築センターのひとつです。

フランス記念建造物美術館のコレクションは、現在、三つの常設展示ギャラリーに展示されています。

  • ・1階は、12世紀から16世紀の鋳造複製のギャラリー。大きさ、保存状態ともに類稀なる作品群です。
  • ・2階は、近現代建築のギャラリー。1851年から現在までの建築をテーマごとに紹介しています。
  • ・壁画とステンドグラスのギャラリー。フランスの壁面芸術の中で代表的なフレスコ壁画の複製を見ることができます。

美術館の入り口の広いホールでは、サン=サヴァン=シュル=ガルタンプ(ヴィエンヌ県)の大修道院付属の古い教会の素晴らしいフレスコ画が皆さまを出迎えます。聖書のエピソードを描いたロマネスク時代の作品です。

そこから一歩足を踏み入れた展示室には、12世紀から18世紀のフランスを代表する建築遺産の鋳造複製がずらりと並びます。作品は年代順、そして、それぞれの建造物の魅力が引き立つように展示されています。最初の展示室で紹介されているのは、ラングドック地方(モワサックの大修道院付属教会のポルタイユ、1120-1130年頃)やブルゴーニュ地方(ヴェズレーのマドレーヌ教会の西側タンパン、1125-1130年頃)のロマネスク美術。マドレーヌ教会の西側タンパンには、威厳に満ちたキリストの姿が表されていますが、身体にぴったりと密着した衣文の表現の素晴らしいこと。また、西洋のキリスト教諸国において、もっとも重要な教会のひとつ、クリュニー大修道院の模型もあります。エッフェル塔を望む大きな開口部と並行したギャラリーには、ポワトゥー地方、サントンジュ地方、プロヴァンス地方のロマネスク教会が続きますが、古代建築を思わせる列柱のあるサン=ギル=デュ=ガールの大修道院付属教会の巨大な中央ポルタイユ(正面部分)をお見逃しになりませんように。

続いて、天井からの光で照らされたギャラリーで、ゴシック美術をご覧ください。ここでは、パリのノートルダム大聖堂へのオマージュとして、非常に興味深い展覧会が開催されています。(※現在、新型コロナウイルス感染予防の為、臨時休館中)昨年の4月に起こったノートルダム大聖堂(12-14世紀)の火災は、まだ皆さまのご記憶にも新しいことでしょう。世界中の人々に大きな衝撃を与えたこの火災で、ノートルダム大聖堂は、その歴史上もっとも甚大な被害に見舞われたのです。この展覧会は、パリの象徴であり、また中世の大聖堂建設とその技術の素晴らしい証人でもあるこの建造物の歴史を辿るもので、建築家ヴィオレ=ル=デュック(1814-1879)による修復前の大聖堂の模型も見ることができます。のちに論争の的となる1844年から1864年にかけての修復で、ヴィオレ=ル=デュックはノートルダムにいくつかの要素を加えました。今回の火災で破壊された、聖遺物を中に収めた雄鶏がついた尖塔もそのひとつです。この尖塔は、彫刻家アドルフ・ジョフロワ=ドゥショーム(1816-1882)作の16体の大きな彫像に取り囲まれていたのですが、幸運なことに、火災の前に取り外されており、福音記者ヨハネの鷲、聖マタイの天使、ヴィオレ=ル=デュックに似せて作られた使徒聖トマの頭部などの何体かを展示室で見ることができました。火災の翌日、その中に収められていた聖遺物とともに発見された雄鶏も展示されていましたが、落下の衝撃で変形した姿に胸を打たれました。このミュゼでは、ノートルダム大聖堂の修復工事の間、修復の進捗状況や、ノートルダム再建に関わる問題(全く同じように作り直すかどうか、素材は何を使うか)にまつわる展示が続けられることになっています。

Update : 2020.4.1

ページトップへ

*情報はMMMwebサイト更新時のものです。予告なく変更となる場合がございます。詳細は観光局ホームページ等でご確認いただくか、MMMにご来館の上おたずねください。