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  狩猟自然博物館  
 
   
Chers Amis

昨年の2月、2年に及ぶ改修期間を経て、狩猟自然博物館がその扉を再び開くこととなりました。

この度の工事を通じて、ミュゼはこれまでの2倍もの広さを有するようになり、「ゲネゴー館」と「モンジュラス館」というふたつの建物もまた、在りし日の華麗な佇まいを取り戻すことができました。このふたつの館は、あるめずらしい芸術に関する素晴らしい収集品を収めた宝石箱といえましょう。
▲狩猟自然博物館、モンジュラス館。
©A. de Montalembert
▲ゲネゴー館と庭園。
©Musée de la Chasse et de la Nature /photo Sylvie Durand
その芸術とは動物にゆかりのあるもの──そう、ここは伝統的な狩猟にまつわる美術品を集めた博物館。パリの只中にありながら、訪れる誰しもを、野生の動物たちの縄張りに引き込んでしまう不思議な場所なのです。扱うテーマの多くはとてもユニークなものですが、狩猟愛好家のみならず古代や現代美術を愛する方々も興味を引かれるに違いありません。
   
   
このミュゼが佇むのは、古き良きパリの趣を宿すマレ地区。近くにはピカソ美術館があります。キャトル・フィス通りとアーカイヴ通りの角に立ちはだかる威圧的な壁の前に立たれると、少し身が引ける思いをなさるかもしれませんが、どうぞためらわずにアーカイヴ通り62番地にあるモンジェラス館の正門をくぐってご覧になって。見事な古典建築が迎え入れてくれるでしょう。
▲キャトル・フィス通りとアーカイヴ通りの角にたつカフェ。
©A.de Montalembert
▲ゲネゴー館のファサード。
©Musée de la Chasse et de la Nature /photo Sylvie Durandorin
新たにミュゼの正面玄関となったモンジェラス館の扉の前に立たれたら、ゲネゴー館をご覧になるのもお忘れなく。こちらも素晴らしい建築ですが、館の玄関に立ち入ることができるのは狩猟クラブのメンバーのみです。ゲネゴー館が建てられたのは1651年、すでに名建築家として名を馳せていたフランソワ・マンサール(1598-1666)が設計を手がけました。マンサールによる個人の邸宅は今やこのゲネゴー館しか残されていないそうで、調和の取れた優美な佇まいは、さすがマンサールといえましょう。中庭と外庭とのあいだに本館、さらに両翼に建物があり、ファサードはフランス古典主義の理念を具現化してすっきりとしたしつらえとなっています。
   
マレ地区にある建物は、数世紀という時の流れとともに傷んでいきましたが、それはゲネゴー館とて同じことでした。1961年にパリ市が館を購入すると、当時ド・ゴール将軍の文化相を務めていたアンドレ・マルロー(1901-1976)は、アルデンヌ県(フランス東部地方)出身の実業家で友人のフランソワ・ソメール(1904-1973)に館の改修に力を貸してくれるように申し入れました。狩猟愛好家で、芸術の庇護者でもあったソメールと妻のジャクリーヌはゲネゴー館に狩猟自然財団を設立。狩猟にまつわる品々とフランス古典主義美術を集めたコレクションを寄贈し、一般に公開することを決めました。こうして1967年、自然狩猟博物館は開館しました。ルーベンス(1577-1640)やシャルダン(1699-1779)、ウードリー(1686-1755)といった巨匠たちの絵画の数々や、貴重な家具調度品や武器、動物の剥製などからなる夫妻の優れた美術コレクションは、ゲネゴー館というこれ以上ない展示場所を与えられることとなったのです。
 
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