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ファーブル美術館
 
ギュスターヴ・クールベ  《こんにちは、クールベさん》1854年
▲ギュスターヴ・クールベ
《出会い(こんにちは、クールベさん)》1854年
© musée Fabre, Montpellier Agglomération, cliché Frédéric Jaulmes
このミュゼでは、現在、パリ、ニューヨークの美術館で開催され話題を呼んだクールベの特別展が開催されています。クールベは美術史に衝撃を与えた偉大なフランス人芸術家のひとり。1819年、フランス東部の地主の家に生まれ、共和国への信念から真実を追究し、自らの目で見たままの現実を描くようになりました。そして、それまでの西洋絵画にあった形式やきまり事を覆し、アカデミスムとの関係を絶ったのです。

展示は、時系列を追ってテーマごとにまとめられています。たとえば、2階には、裸体画ばかりを集めた一画がありますが、なかでもわたくしの心を捉えたのは≪浴女たち≫(1853)。クールベは、それまでの美の規範に背き、太った女性のありのままの姿を、その欠点をも含めて描き出しました。大きなスキャンダルを巻き起こしたこの絵を手に入れたのは、くだんのブリュイヤス。そして、これを機に、クールベとブリュイヤスの友情が育まれていくことになりました。
   
ブリュイヤスから招待を受けたクールベは、1854年と1857年にモンペリエを訪れています。美術館の1階には、このミュゼを象徴する一枚≪クールベさん、こんにちは≫(1854)が飾られていますが、これは彼ら2人の友情の証しといえましょう。モンペリエ訪問を機に南仏の明るい光を見出したクールベは、明るい空を背景に、その記憶を永遠のものとして残したのです。いかにも画家らしい風貌でリラックスした様子のクールベを、ブリュイヤスが洗練された物腰で、温かく迎えている場面が描かれています。
 
 
   
≪パラバスの海岸≫(1854)には、目の前に広がる大海原に自由を見出し、喜びに溢れるクールベの姿が描かれています。この作品でクールベは、3つの色の層だけで陽光降り注ぐ海岸と海を描き出しましたが、それは、この上なく近代的な手法でした。
クールベはいちはやく写実主義を提唱したという点のみならず、情報の操作という面においても、とても革新的でした。膨大な数の自画像を発表することで、自らの存在と名を世に知らしめたのです。その自画像の多くは、特別展の最初の展示室でご覧いただけます。
ギュスターヴ・クールベ《パラバスの海岸》
▲ギュスターヴ・クールベ《パラバスの海岸》
© musée Fabre, Montpellier Agglomération, cliché Frédéric Jaulmes
   
レストラン≪ランサンセ≫。
▲レストラン≪ランサンセ≫。
©A.de Montalembert
特別展を見終えたら、是非、クールベ通りまで足をお運びになって。クールベが描いたままの景色を見渡して、この度の鑑賞の締めくくりとしてはいかがでしょう。
   
もうひとつのお勧め:鑑賞の後は、レストラン≪ランサンセ(l'Insensé)≫を覗いてみてください。花咲く遊歩道越しにミュゼのクラシックなファサードを眺めながらのお食事は、また格別です。
 
友情をこめて。
   
▲ファーブル美術館のかつての図書館。
©A.de Montalembert
▲美術館へと続くプラタナスの並木。
©A.de Montalembert
 
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