マティス美術館 マルク・シャガール聖書のメッセージ美 ルノワール美術館
素晴らしい光景にかこまれた 画家の家とアトリエ 11枚のオリジナル作品に彩られた室内 絵にかけた情熱が伝わってくるアトリエ
南仏コート・ダジュールのミュゼレポート
  南仏コート・ダジュールから全3回にわたってお届けしているミュゼレポート。
最終回となる3回目は、ニースの隣町カーニュ・シュル・メールにある
ルノワール美術館をご紹介します。
すでに大画家として名声を得ていたルノワールが、晩年に過ごした
自邸とアトリエが、そのまま美術館として公開されています。
画家が生涯の最後の12年間を最愛の妻、そして3人の息子とともに暮らした
南仏の館は、画家の作品と同様、“生きる歓び”に満ちあふれた空間です。
 
 
絵にかけた情熱が伝わってくるアトリエ
▲最晩年の写真。手に絵筆を固定しているのが見える。
 2階に上がると夫婦それぞれの寝室、子供部屋と画家のアトリエがあります。このアトリエは定石通り、北向きに大きな窓があり、ルノワールはその光を画布やモデルに取り込むため、窓に背を向けた姿勢で絵を描いていました。体が不自由になっても車椅子に座って、手に絵筆をくくりつけて描き続けました。「小鳥がさえずるように絵を描いた」と言われるほど、ルノワールは描くことを愛した人でした。壁に並んだアトリエで創作中のルノワールの写真は1918年に撮られたものです。絵の具箱やパレットも当時のままです。ルノワールはパレットに絵の具を出して、それを画布の上で混ぜ合わせていました。
パレットは1日の創作が終ると毎回きれいに洗っていたそうです。アトリエにある絵はすべてレプリカですが、奥にルノワールの胸像があります。ギノが作ったもので、これがルノワールの墓標となっています。
 2階にはこの他に、ナビ派を代表する画家ボナール(Pierre Bonnard)が描いた風景画、彫刻家マイヨール(Aristide Maillol)の手による帽子をかぶったルノワールの頭像、ルノワールとモレルとの共作などがあります。また陶芸家となった3男のクロードの作品も展示されています。ちなみに長男のピエールは俳優、次男のジャンは映画監督となりました。
▲画家が使っていた当時のままに保管された絵の具箱。
▲アトリエにあるギノによるルノワールの胸像。
 ルノワールの寝室には彼の外套とステッキが残されていました。藤色のシルクの水玉スカーフがとてもお洒落です。愛情あふれる家族のポートレートや広い交友関係を偲ばせる作品群などからは、画家の豊潤な人生を感じずにはいられません。衰えない創作意欲、明るい南仏の自然と我が家……。ここで過ごしたルノワールの晩年は、きっと幸せに満ちあふれた日々だったことでしょう。
▲描きかけの裸婦像。
▲ルノワールの外套とステッキ。
素晴らしい光景にかこまれた 画家の家とアトリエ 11枚のオリジナル作品に彩られた室内 絵にかけた情熱が伝わってくるアトリエ
 
展覧会「ルノワール+ルノワール」
印象派を代表する巨匠ピエール=オーギュスト・ルノワールとその次男で映画監督ジャン・ルノワールの世界にクローズアップする展覧会。家族、父と子といったテーマを軸に、ときに父子の油彩画と映像を対比させながら、フランスの芸術界に大きな影響を与えた二人のルノワールの世界に迫ります。
会期 2008年2月2日(土)-5月6日(火)
会場 渋谷Bunkamuraザ・ミュージアム
開館時間 10:00-19:00(毎週金曜・土曜は21:00まで)
休館日 展覧会期間中は無休
ピエール=オーギュスト・ルノワール
《田舎のダンス》 1883年
油彩・カンヴァス
180x90cm 
オルセー美術館
©Photo RMN/H. Lewandowski/digital file by DNPAC
ジャン・ルノワール
『ピクニック』 1936年
Paris, Collection Cinémathèque française, fonds Femis; D.R.
詳細はこちら
 
田中久美子(Kumiko TANAKA/文・写真) ページトップへ
ルノワール美術館
所在地
 
Chemin des Collettes, 06800
Cagnes-sur-Mer
Tel
 
+33(0)4-93-20-61-07
Fax
 
+33(0)4-93-73-09-20
URL
 
http://www.cote.azur.fr/
tourisme-musee-renoir-
cagnes-sur-mer-612.htm
開館時間
 
夏期
10:00-12:00、14:00-18:00 
冬期
10:00-12:00、14:00-17:00
休館日
 
火曜日、1月1日、5月1日、11月、12月25日
入館料
 
3ユーロ
MMFで出会えるルノワール
MMFインフォメーション・センターでは、フランスで開催された「ルノワール+ルノワール」展の展覧会カタログをいちはやく入手。そのほかにも、ルノワールに関する書籍を閲覧いただけます。

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