• メッスに新しい風を吹き込む現代アートの美術館
  • 白を基調とした斬新奇抜な建築
  • 第1回目の企画展「傑作?≪CHEFS-D’OEUVRE ?≫」と今後の展覧会
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ポンピドー・センター=メッス ローラン・ル・ボン館長へのインタビュー

 フランスの北東、ドイツとの国境に位置するロレーヌ地方の首府メッス。2010年5月 、この街に新しい現代アートの美術館、ポンピドー・センター=メッスが開館しました。日本人建築家とフランス人建築家による個性溢れる建築、そしてパリのポンピドー・センターの豊富な現代美術のコレクションを基に行う企画展で、現在大きな注目を集めています。今回は、このポンピドー・センター=メッスの館長、ローラン・ル・ボン(Laurent Le Bon)氏に、誕生したばかりの美術館についてお話を伺いました。

メッスに新しい風を吹き込む 現代アートの美術館

まずポンピドー・センター=メッスが開館に至った理由、 またこの美術館の主要なコンセプトについて教えてください。

▲ポンピドー・センター=メッス ローラン・ル・ボン館長

ローラン・ル・ボン館長(以下L.L.):1977年、パリにオープンしたポンピドー・センターは「分散化の中核」と考えられています。ご存じのようにフランスでは、美術館をはじめ多くの文化施設がパリに集中しているため、この「分散化」という表現はフランス国内全域に関心を向けなくてはならないという意味で重要です。パリのポンピドー・センターは大きな成功を収め、1997年には改築工事のために一時閉館しました。その期間中、私たちは地方で多くの展覧会を行い、多くの来場者に恵まれました。そして2000年、パリのポンピドー・センターはリニューアル・オープンに至ります。その際、館長のジャン=ジャック・アヤゴン(Jean-Jacques Aillagon)氏は、こうした状況を永続的なかたちで保ち続けるのがよい、つまりポンピドー・センターはコレクションを各地方に分散させるべきと話しました。今ではポンピドー・センターはフランス国内最大の貸主で、毎年2,000点から3,000点もの作品を外部へ貸し出しています。

▲メッスの街の中心に建つサン=テティエンヌ大聖堂

 しかしながら私たちは、作品を貸し出すだけでなく、建築と文化的内容を併せ持つ環境をつくり出したかったのです。そこで募集をかけたところ、いくつかの都市が興味を示しました。そして最終的に選ばれたのがこのメッスでした。メッスが位置するロレーヌ地方には、現代美術をテーマとする大型の美術館がありませんでしたし、駅に近く、街の中心部からもそう遠くないことが、この地が選ばれた理由です。地方へのコレクションの分散化というプロジェクトを試みるのに、最適な条件がここにはそろっていたわけです。

 主要なコンセプトはパリのポンピドー・センターと同じですが、私たちはそのコピーでも支部でも分館でもありません。私たちはポンピドー・センター=メッスです。パリのポンピドー・センターの遺伝子を受け継ぎながらもコレクションは持たず、企画展のみを行います。パリのコレクションを基軸に、年に4つから6つの展覧会を企画する予定ですが、それだけではありません。世界中から作品を借り受けることも考えています。これは私たちのプロジェクトの魅力のひとつです。また美術館にはパフォーマンス、スペクタクル、講演、映画上映などが行える劇場やホールも併設されているので、私たちはジャンルにとらわれることのないさまざまな企画を考えています。

まずポンピドー・センター=メッスが開館に至った理由、 またこの美術館の主要なコンセプトについて教えてください。

▲ポンピドー・センター=メッスの外観
© Shigeru Ban Architects Europe et Jean de Gastines Architectes / Metz Métropole / Centre Pompidou-Metz / Photo Roland Halbe

L.L.:関係はとても良好で、「相互依存の中の独立」といえるでしょう。フランスでは文化協力公的機関(établissement public de coopération culturelle)といいますが、私たちは国内の自治体、都市、都市共同体、モゼル県議会、ロレーヌ地域圏議会、国、パリのポンピドー・センターといったすべての当事者の中で、法的に自立したかたちをとっています。つまりポンピドー・センター=メッスは、独立した予算と独自の企画権を持っているのです。もちろんうまく運営していくには、パリのポンピドー・センターとは常に協力をしていかなくてはなりません。しかしメッスは独自の文化政策を展開できるため、パリとの関係が良好であれば、メッスにおけるプロジェクトも良好といえるわけです。

Update :2010.9.1
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ポンピドー・センター=メッス

  • 所在地
    1, parvis des Droits de l'Homme CS 90490 F-57020 Metz Cedex 1
  • Tel
    +33(0)3 87 15 39 39
  • URL
    http://www.centrepompidou-metz.fr
  • 開館時間
    月曜、水曜 11:00-18:00  
    木曜、 金曜 11:00-20:00
    土曜 10:00-20:00
    日曜 10:00-18:00
  • 休館日
    火曜日
  • 入館料
    一般:7ユーロ
    26歳未満 :無料
  • アクセス
    パリ東駅よりTGVの直通電車で1時間20分。

MMFで出会える ポンピドー・センター=メッス

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