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メトロポリタン美術館展覧会公式図録
謎めいた猫と少女の存在に、心がざわつく一冊

『バルテュス 猫と少女』
Balthus Cats and Girls

「20世紀最後の巨匠」バルテュスが愛した
ふたつのモチーフ。その背景を探る展覧会のカタログ

 銀座MMMでは、「芸術家は猫がお好き」と題して、全館で猫とアーティストにフォーカスした特集を展開中。今月もライブラリからは、猫と画家との結びつきを紐解く一冊をご紹介します。2014年、ニューヨークのメトロポリタン美術館で開催された展覧会「バルテュス 猫と少女」の公式図録です。

 バルテュスことバルタザール・クロソフスキー・ド・ローラ(1908-2001)は、ピカソをして「20世紀最後の巨匠」と言わしめた画家。絵画の主流が抽象へと向かった20世紀において、あくまで具象にこだわり、独自の画境に達しました。
 バルテュスといえば誰もが思い浮かべるのは、少女の絵でしょう。大人になる一歩手前の少女たちの姿を、濃厚なエロスの香りとともに描き出した作品群は、時にスキャンダルを巻き起こしつつ、鬼才バルテュスの名を世界に知らしめたのです。
 そして、バルテュスにとって少女と並ぶ重要なモチーフが猫でした。本書では、バルテュスの初期作品、とりわけ1930年代半ばから50年代にかけての作品に焦点を当て、少女と猫を描いた171点を紹介。モデルとなった女性本人へのインタビューをはじめとする様々なアプローチから、バルテュスの生涯のモチーフが生まれた背景を丁寧に探っていきます。
 初期ルネサンスの宗教画を思わせる静謐な画面に描かれた、どこか危険な香りの少女と謎めいた猫たち──。「20世紀最後の巨匠」バルテュスの世界が凝縮された一冊、ぜひ、ご覧ください。

※こちらでご紹介する書籍は地下1階のMMMライブラリにて閲覧いただけます。
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Update : 2018.10.1

『バルテュス 猫と少女』
Balthus Cats and Girls
26×23.8cm/166ページ
英語/2013年
著者:サビーネ・リウォルド
出版社:Thames & Hudson
本体価格:29.95ポンド
※この情報は2018年10月更新時のものです。

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