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フランスとアジアとの貿易の歴史を紐解く
『東インド会社博物館』 Musée de la Compagnie des Indes /
The East India Company Museum

マダム・ド・モンタランベールから届いたばかりの公式図録

 東インド会社──。この名を耳にして、インドで植民地経営に従事したイギリスの東インド会社や、世界最古の株式会社であるオランダの東インド会社を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。実際には、「東インド会社」は17世紀から18世紀末までヨーロッパ各国で設立され、それぞれの国とアジアとの貿易を特権的・独占的に担ったのです。中でもフランスの東インド会社は、オランダ、イギリスに次ぐ規模で貿易を展開し、さまざまな文物をフランスにもたらしました。
 このフランス東インド会社の博物館が、南ブルターニュのロリアン市にあります。MMMwebサイトの連載「マダムのミュゼ訪問」は、フランス社交界きっての美術通であるモンタランベール伯爵夫人が、「知られざるミュゼ」を紹介する企画ですが、中でも、今月マダムがご紹介するこの「東インド会社博物館」は、知る人ぞ知るユニークなミュゼ。17世紀、ロリアン港を拠点に紆余曲折を経ながら、アジアとの交易を展開した東インド会社の歴史を紹介する、フランスで唯一の博物館なのです。
 そこで今月は、モンタランベール伯爵夫人から届いたばかりの、東インド会社博物館のオフィシャル・ガイドをご紹介いたします。64ページと手軽な冊子ながら、前半では17世紀に始まるヨーロッパとインドの交易、そしてフランス東インド会社の歴史を紐解き、続くパートでは、模型の写真や銅版画などの資料をふんだんに用いて、当時の航海の様子が丁寧に解説されています。後半ではテキスタイルや陶磁器など、東インド会社がインドや中国、日本から持ち込み、フランスの人々を魅了したさまざまな品々からなるコレクションがオールカラーで掲載されていて、ページを繰るだけでも楽しめる一冊になっています。
 三百年の時を経て、日本とフランスの交易の歴史を語りかける一冊、ぜひお手にとってご覧ください。

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Update : 2019.12.2

『東インド会社博物館』
Musée de la Compagnie des Indes / The East India Company Museum
24.5×21.0cm/64ページ
フランス語/英語/2012年
著者:ブリジット・ニコラ/ピエール・コンブス
出版元:Musée d'Art et d'Hisotire de la Ville de Lorient
本体価格:10ユーロ
※この情報は2019年12月更新時のものです。

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