東京都現代美術館(MOT)では、10年来、夏の期間中はスタジオジブリの協力を得て企画展を開催しています。またここ5、6年は隔年で、ジブリ映画だけでなく、アニメーションの世界で活躍したアーティストの個展も開催しています。そして今年の夏、スタジオジブリと東京都現代美術館との強力タッグで実現したのが、高畑勲監督や宮崎駿監督があこがれ、敬愛し続けるフレデリック・バック
(FrédéricBack/1924-)をテーマにした展覧会です。「フレデリック・バック展」は、スタジオジブリが長らく開催を望んできた展覧会です。アカデミー賞に4度ノミネートされ、そのうち2度も受賞した輝かしい経歴を持つバック。それほどまでに多くの人々を虜にする彼の魅力はどこにあるのでしょうか?
バックは第一次世界大戦後の1924年、フランスとドイツの国境に面し、当時は国際連盟の管理地域となっていたザール地方サン・タルヌアルドに生まれました。4歳の時、一家はアルザス地方のストラスブールへ移住します。その頃のフレデリック坊やのいちばんの楽しみといえば、絵を描くことでした。草を食む牛や山羊、幌馬車など、石畳の歩道にはチョークで描かれたかわいらしい絵が、小さな手を通して、毎日生み落とされていったのです。その小さな手の主が、数十年後、世界中の人々の心を動かすことになろうとは、その時はきっとだれひとり想像することはなかったでしょう。
それから60年後――。バックは、『木を植えた男』で2回目のアカデミー賞短編アニメーション賞受賞という、輝かしいスポットライトの中にいました。彼が紡ぐアニメーションの世界は多くの人々を感動させるだけにとどまらず、『木を植えた男』では世界中の人々を植樹活動という、実際の行動にまで突き動かしたのです。
1本のアニメーションが世界を変えることがある――
ひとりの人間が制作する作品のどこに、そんな"魔法のような力"があるのでしょうか? 実はバックは、そのおだやかな表情からはうかがい知れない波乱に満ちた人生を歩んできたアーティストです。
そして、アニメーションの世界の奥行きを理解し、その"魔法"のなぞを解くのに、これほどまでにふさわしい人はいないでしょう。そのため本展は、バックの代名詞ともなっているアニメーション作品を紹介するだけでなく、なんと2歳の頃に描いたというピエロの絵を皮切りにスタートします。バックの人生の旅をともにたどることは、その作品世界の、さらにはアニメーション作品の魅力の秘密に触れることでもあるのです。
© Societe Radio-Canada
In partnership with the Atelier Frederic Back, Montreal.
- 会期
2011年7月2日(土)〜10月2日(日) - 会場
東京都現代美術館 企画展示室1F、3F - 所在地
東京都江東区三好4-1-1 - Tel
03-5777-8600(ハローダイヤル) - URL
美術館
http://www.mot-art-museum.jp/
展覧会
http://www.ntv.co.jp/fredericback/ - 開館時間
10:00-18:00
*入場は閉館の30分前まで - 休館日
月曜日
*ただし9月19日・26日は開館 - 観覧料
一般、大学生:1,200円
中高生:900円
小学生:600円
小学生未満:無料
ワークショップ
「ファミリー・トーテム・ポール
〜自分たちだけのトーテム・ポールをつくろう!」
バックが暮らすカナダには、先住民族の人々が紡いできた文化がいまだ残っている地域があります。そのひとつがトーテム・ポール。彼らは身近に生きる動物や神話の中の精霊などをシンボル化し、「トーテム(紋章)」としてネイティブアートとして刻んできました。そんな彼らの伝統にならい、わたしたちも紙コップに大切な家族や友人、大好きな動物の絵を描いて、自分たちだけのトーテム・ポールを作ってみませんか? このコーナーは写真撮影が可能! 大人から子どもまで楽しめるワークショップです。
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