モネの《印象―日の出》や《睡蓮》を所蔵するミュゼとして知られるパリのマルモッタン美術館が、今年で開館80周年を迎えます。個人コレクションの寄贈を基盤に開館したこの美術館で、そのコレクターにオマージュを捧げる展覧会が2月13日から7月6日まで開催されています。普段目にすることのできない貴重な印象派のプライベートコレクションの数々が、世界中から約100点集められました。
現在マルモッタン美術館はオルセーやオランジュリーと並んで豊富な印象派コレクションを有するパリの美術館として知られています。マルモッタン美術館が開館したのは、今からちょうど80年前の1934年。この数年前、美術史家であり偉大なコレクターでもあったポール・マルモッタン(Paul Marmottan/1856-1932)の邸宅が、第一帝政時代の美術コレクションとともに美術アカデミーに遺贈されたことがきっかけとなっています。
以降マルモッタン美術館は1世紀近くに及び、外部からの寄贈によってそのコレクションを増やし続けてきました。現在美術館が誇るクロード・モネ(Claude Monet/1840-1926)、ベルト・モリゾ(Berthe Morisot/1841-1895)をはじめとする印象派の豊かなコレクションは、画家の子孫や個人コレクターから託されたもの。それら寛大なコレクターの存在なくして、マルモッタン美術館が今日のように印象派の殿堂となることはありませんでした。
開館80周年を記念したこの印象派のプライベートコレクション展は、美術界に貢献する個人コレクターに深い敬意を表すことを目的として企画されました。本展覧会に協力したのは、フランス、アメリカ、メキシコ、スイス、イギリス、イタリアなど、世界各地の51人のコレクターです。キュレーターには印象派の画商として有名な、ポール・デュラン=リュエル(Paul Durand-Ruel/1831-1922)の子孫にあたる、美術史家のクレール・デュラン=リュエル(Claire Durand-Ruel Snollaerts)氏を迎えています。
個人コレクションのみを集めた企画展のため、普段なかなか見ることのできない作品に出会える点がこの展覧会の大きな醍醐味。美術館の所蔵作品に匹敵する質の高い印象派の作品の中には実に100年以上の時を経て、一般の人々の前にお目見えしているものもあります。展示は約80点の油彩作品と約20点のグラフィック作品、2点の彫刻作品で構成され、印象派の歴史全体を改めて紹介する内容です。印象派が歩んだ道のりを振り返りながら、印象派の情熱と同時に彼らに魅せられたコレクターたちの情熱をも感じとることのできる特別な展覧会となっています。
次ページでは、展覧会の出品作品とともに
印象派の誕生の歴史をたどります。>>
Update : 2014.4.1 文・写真 : 増田葉子(Yoko Masuda)
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