Dossier special - 海外の特集

  • 1.展示空間紹介
  • 2.マルチメディア、工芸品部門長学芸員ジャニック・デュラン氏からのメッセージ
  • 3.作品紹介

ルーヴル美術館 工芸品部門 18世紀の33の展示室がリニューアルオープンしたルーヴル美術館へ

フランスが世界に誇る“美の殿堂”ルーヴル美術館では、エジプトやギリシア・ローマの古代美術から、絵画、彫刻をはじめとしたコレクションを8つの部門に分けて公開しています。その中のひとつ、工芸品部門の「ルイ14世からルイ16世治世のフランス式生活様式の展示室」が長期に渡る改装工事を経て、リニューアルいたしました。
今月の特集では、いち早く改装後の展示室にご案内いたします。

展示空間紹介

今回は、 2014年6月6日、10年にわたる改装工事を終えてリニューアルオープンしたルーヴル美術館の18世紀工芸品の展示室をご紹介します。

▲新展示室リニューアルオープンを告知する垂れ幕
©M.S.
▲パリのヴァンドーム広場にあったダンジェ邸の内装を再現した部屋
©2014 Musée du Louvre, dist. RMN-GP / Olivier Ouadah

ルイ14世からルイ16世(Louis XVI/1754-1793)の時代、つまりポンパドゥール夫人(Madame de Pompadour/1721-1764)やマリー=アントワネット(Marie Antoinette Josepha Jeanne de Lorraine d'Autriche/1755-1793)を中心に花開いた、フランス宮廷の装飾美術の最たる時代を体現する世界随一のコレクション。新しい展示空間を訪れると、その素晴らしさを余すところなく体感することができます。

▲ルイ14世様式の象徴とも言えるブール象眼(Marqueterie Boulle)のキャビネット。中央の金の像はルイ14世
▲ポンパドゥール夫人の肖像
©M.S.

2000u余り、33室からなるこの新しい展示空間は、ルーヴル美術館のリシュリュー翼(Aile Richelieu)、方形中庭(クール・カレ、Cour carrée)の北側の2階を占めています。そこではルイ14世の時代からフランス革命まで、ヨーロッパ中が魅了されたフランスの美術工芸品の魅力を十分に味わうことができます。

▲ル・バ・ドゥ・モンタルジ邸に由来する壁の装飾パネルがはめられた部屋
▲部屋が廊下を隔てずに連続する様子も、18世紀の建築様式と同じ
▲床や壁の漆喰までも、当時の典型的な装飾要素を再現

この自然光が差し込む明るい空間では、18世紀の雰囲気を存分に味わえると同時に、21世紀の私たちのニーズに合わせた工夫もなされ、快適に鑑賞をすることができます。例えば 、バリアフリーが考慮された広い通路、簡単に館内の他の展示室へのアクセスを可能にする、新たに設置されたエレベーターや階段、見やすい位置に配置された作品情報(英・仏2カ国語対応)。また、33の部屋は時代順に配置されていて、工芸品という分野に馴染みのない一般の人々でも、ここを散策するだけで自然にこの素晴らしいコレクションの美しさや、様式の推移に触れ、発見、理解できるような造りになっています。

▲ルーアン(ノルマンディー地方)の陶器の展示ケース
©2014 Musée du Louvre, dist. RMN-GP /
Olivier Ouadah
▲嗅ぎタバコ入れが照明に当たって美しく輝く展示ケース
©2014 Musée du Louvre, dist.
RMN-GP / Olivier Ouadah

一般的なガラスの展示ケースで作品を間近で鑑賞することができるのはもちろん、テーマや時代に沿って、豪奢な工芸品が置かれていた様子を目で見て感じられるよう、「ピリオド・ルーム(Period Room)」というコンセプトの展示室の数々では、 当時の貴族の館や宮殿の室内が再現されています。

▲パリのヴァンドーム広場にあったダンジェ邸のサロンの再現
©2014 Musée du Louvre, dist. RMN-GP / Olivier Ouadah

17世紀の厳格さが残るルイ14世様式の部屋では、少し重々しい、男性的なラインの家具が多く、色味も赤や黒、金といった、強さや富を象徴するようなものが目立ちます。

▲ルイ14世の間
▲今回のオープンに際して絵画部門から移されたリゴー(Hyacinthe Rigaud/1659)のルイ14世の肖像画

時代が進み、ルイ15世(Louis XV/1710-1774)の治世下で花開いたレジャンス(Régence/摂政、ルイ15世が幼くして即位したため、長い間摂政政治が続いた)様式とルイ15世様式の装飾品が展示された空間に進むと、雰囲気ががらっと変わり、青や緑などを基調にした布や、曲線が多く、やや女性的な華美な世界に入り込みます。部屋の大きさも前時代の展示室とはうって変わって、こぢんまりとした、私的な空間が意図的に再現されています。

▲ルイ15世様式の装飾品の展示
▲現存する当時の布を元に織り直されたカーテンの一部
▲ピラネーズの間

さらに奥へと進んでいくと、開放的で広い空間に出ます。突然現れた古代の彫刻に少し戸惑ってしまいますが、「ピラネーズの間」と呼ばれる部屋で、当時の新古典ブームを象徴する、18世紀にフランスにあった古代美術コレクションを見ることができます。ヨーロッパ全体に新古典主義が起こるのが1750年代以降。それは18世紀前半に発見されたイタリアのポンペイやヘルクラネウム遺跡に端を発する流行で、この部屋の名前の由来にもなっているピラネージ(Giovanni Battista Piranesi/1720-1778) が描くローマ遺跡の版画がヨーロッパ中に広まり、あらゆる芸術のインスピレーション源になったのです。

そこを過ぎると新古典主義の始まり、すなわちルイ16世様式の時代をテーマとした展示室が続きます。曲線が直線に変わり、装飾のモチーフも古代ギリシア・ローマを意識した円柱や神話主題が目に入って来ます。また、この時代はマリー=アントワネットを中心とした女性文化の時代。家具の線は全体的に細くなり、部屋の色彩もパステルを基調とした軽やかなものとなります。

▲マリー=アントワネットの居室を再現した展示室
©M.S.
▲ルイ16世の弟、18世紀きってのプレイボーイ、アルトワ伯のトルコ風の小部屋の再現
©M.S.

次ページでは、マルチメディア、工芸品部門長学芸員の
ジャニック・デュラン氏のメッセージをご紹介します。>>

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Update : 2014.8.1 文・写真 : 中澤理奈(Lina Nakazawa)ページトップへ

ルーヴル美術館

所在地
Musée du Louvre, 75001,Paris, France
Tel
+33(0)1-4020-5050
URL
http://www.louvre.fr/jp
E-Mail
question-internet@louvre.fr
開館時間
月・木・土・日:9:00-18:00
水・金:9:00-21:45(夜間開館)
休館日
毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
入場料
常設展のチケット:12ユーロ
ナポレオン・ホールでの企画展のチケット:13ユーロ
共通チケット:16ユーロ
(詳しくは:http://www.louvre.fr/jp/開館情報と観覧料/観覧料#tabs)
アクセス
地下鉄1・7番線、「Palais-Royal-Musée du Louvre」駅下りてすぐ
※この情報は2014年8月更新時のものです。
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