Dossier special - 海外の特集

  • 1.戦後のパリで返り咲いたオートクチュール
  • 2.「1950年代」展ここに注目1
  • 3.「1950年代」展ここに注目2

ガリエラ宮パリ市立モード美術館 1950年代展−フランスのモード1947-1957

エルメスやバレンシアガが生んだカジュアルな華やぎ

ROBE DE PLAGE ET DE CAMPAGNE
カジュアルドレス:ビーチ&サンドレス

 洗練されればされるほど高級感を増したオートクチュールは、若い世代には時に堅苦しいものに映りました。そんな中で、ヴァカンス先で着用するために作られたカジュアルドレスは、オートクチュール界に軽快さと心地よい太陽のイメージをもたらしました。縞模様や花柄のプリント地、肌触りのよいコットン素材など、スーツやイブニングドレスとは一線を画したエレガンスが印象的です。こうした夏のカジュアルな装いは、1960年代のプレタポルテの躍進を促すきっかけにもなりました。

▲カクテルドレスの展示風景
▲縞柄のビスチェドレス/ランヴァン-カスティーヨ(Lanvin-Castillo) 1955年頃
©Fr.Cochennec et E.Emo / Galliera / Roger-Viollet

注目の作品:エルメス 夏用ワンピース《 Hermeselle 》1952年春夏

▲夏用ワンピース

 「本来プリント地からワンピースのアイデアを得るところ、エルメスはその逆をやってのけた」。そうコメントしたのは1952年発行の『ヴォーグ』誌フランス版です。まず布地にプリントを施し、その柄に従って布地を裁断、縫製するという、ユニークな手法で作られました。襟やボタン、ポケットの付いた街着に見せかけ、実際はVネックのプリント地のワンピースという遊び心の溢れる作品です。

ROBE DE COCKTAIL
カクテルドレス

▲カクテルドレスの展示風景

 カクテルドレスは、エレガンスと便利さを融合させたドレスのスタイル。夜8時以降のレストランでのディナーや観劇などで着用され、イブニングドレスよりも気軽に身に着けることのできるドレスとして1950年代に重宝されました。イブニングドレスよりも丈が短いのが特徴で、TPOに従い肩を隠すボレロやショールが合わせられました。1960年代には姿を消し、新たにクリエイターを引き付けたのは1980年代に入ってからのことでした。

注目の作品:バレンシアガ カクテルドレス《 Baby doll 》1958年春夏

▲カクテルドレス
©Stéphane Piera / Galliera / Roger-Viollet

 1958年にスペイン出身のバレンシアガがパリで発表したのは、「ベビードール」という名のシンプルなフォルムのカクテルドレスでした。いわゆる「オーバーサイズ」のボリュームあるドレスのフォルムは、当時のモード界に衝撃を与えました。裾の豊かなプリーツは20年代の人形のドレスを彷彿とさせます。バレンシアガの独創的なデザインは、1960年代のトレンドとなる簡素化されたデザインに大きな影響を与えました。

[FIN]

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Update : 2014.9.1 文・写真:増田葉子(Yoko Masuda)ページトップへ

ガリエラ宮パリ市立モード美術館1950年代展

会期
2014年7月12日(土)
〜11月2日(日)
会場
ガリエラ宮パリ市立モード美術館
所在地
10 avenue Pierre 1er de Serbie, Paris 16e, 75116 Paris
Tel
+33 (0) 1 56 52 86 00
URL
http://palaisgalliera.paris.fr
開館時間
10:00-18:00
*木曜日は21:00まで開館
休館日
月曜日、祝日
入場料
一般:8ユーロ
13歳以下:無料
アクセス
地下鉄9番線Iéna駅下車、徒歩約4分
※この情報は2014年9月更新時のものです。

MMMで出会えるガリエラ宮パリ市立モード美術館

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