7月12日から11月2日まで、ガリエラ宮パリ市立モード美術館で、1947年から1957年のパリのモードをテーマにした「1950年代」展が開催中です。クリスチャン・ディオール(Christian Dior/1905-1957)の「ニュールック」を皮切りに、戦後のパリで劇的な進化を見せたオートクチュールのデザイン。本展ではパリの名門メゾンによる50年代の多種多彩なシルエットを、スーツやドレス、小物類など、数百点に及ぶ展示品とともに振り返ります。
コルセットを使用した細いウエストに、ふくらみを持たせたヒップ、そしてたっぷりと布を使用した豊かなドレープ……。戦後間もない1947年、クリスチャン・ディオールは初のコレクションを発表し、センセーショナルなデビューを果たしました。砂時計のような細いくびれのあるこのフェミニンなシルエットは、世界初の女性ファッション誌といわれる『ハーパーズ・バザー』誌の編集長カーメル・スノウ(Carmel Snow/1887-1961)によって「ニュールック」と名づけられ、大きな評判を呼びました。物資の不足していた戦中戦後の節約の風潮を覆すニュールックのデザインは、戦時中思うように着飾ることのできなかった女性たちに再びファッションの喜びを与えます。ディオールはこのニュールックの成功を足がかりに、初コレクションの発表から1957年に急逝するまでの11年間、次々に新しいシルエットのデザインを打ち出し、パリのオートクチュール界をリードし続けました。
1950年代のパリでは、バレンシアガ(Balenciaga)、ジャック・ファット(Jacques Fath)、シャネル(Chanel)といった歴史あるメゾン、またディオール、ジヴァンシィ(Givenchy)、ピエール・カルダン(Pierre Cardin)、ピエール・バルマン(Pierre Balmain)などの新世代のメゾンによって、オートクチュールの黄金期が築き上げられました。
「1950年代」展と題された本展覧会では、1947年のニュールックの誕生から、クリスチャン・ディオールの亡くなる1957年までのフランスのモードをクローズアップ。日中のスーツ、イブニングドレス、カジュアルドレスやカクテルドレス、そして体のラインを作るアンダーウエアまで、カテゴリー別に1950年代のパリが発信した女性のエレガンスを余すところなく紹介しています。第二次世界大戦の暗い占領の時代を終え、再びファッションの都として返り咲いたパリの風景が、ガリエラ宮の中に華やかに蘇っています。
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Update : 2014.9.1 文・写真:増田葉子(Yoko Masuda)
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