歴史と芸術の街、オーストリア・ウィーン。その中心部には「双子の美術館」と呼ばれ、親しまれている美術史美術館と自然史博物館があります。今回はそのひとつ「ウィーン美術史美術館」を訪れました。
オーストリアの首都ウィーンの中心には旧市街をぐるっと囲む「リング通り(Ringstraße)」という道があります。かつてはウィーンの町を守る城壁だったというそのリング通りに面して、フランツ・ヨーゼフ皇帝により数々の歴史的な建物が19世紀後半に建てられました。オペラ座、国会議事堂、ブルク劇場、市庁舎、ウィーン大学、証券取引場、応用美術館など、リング通りを一周する観光路面電車(Vienna Ring Tram)もあるほど、とても観光のしやすい場所です。その中のひとつ、ウィーン美術史美術館は中庭を挟んでウィーン自然史博物館と対の形をなして向かいあって建てられており、そのネオ・ルネッサンス様式の建物自体も見どころのひとつです。
中庭の真ん中にはマリー=アントワネット(1755-1793)の母親、女帝マリア・テレジア(1717-1780)の記念碑があり、それを中心に美術史美術館と自然史博物館はディテールの一つひとつに至るまでが対称にデザインされているので、双子の美術館と呼ばれ親しまれています。建物上部にある彫刻など細かいところまで対称にデザインされているので、天気のよい日には休憩がてら中庭の緑やベンチに座り、見比べてみるのもよいかもしれません。
中庭では、毎年11月の初頭からクリスマス・マーケットも催されます。市庁舎やシェーンブルン宮殿のものより小規模ですが、この時期に訪れる方には美術鑑賞の終わりにクリスマス・マーケットのグリューワイン(ドイツのクリスマス時期に一般的に飲まれているホットワイン)でホッと一息するのもおすすめです。
このウィーン美術史美術館。1891年に、約640年にもわたって広く長くヨーロッパを支配した名門ハプスブルグ家の帝国コレクションを一般公開したことに、その端を発します。ヨーロッパの美術館は、フランスのルーヴル美術館などのように宮殿や城などの建造物を美術館にしていることが多いのですが、ウィーン美術史美術館は初めから美術館として建てられたこともあり、豪華な中央階段や天井画など美術館内全体のインテリア装飾がほかの美術館とは違った魅力を備えており、施設それ自体がアート作品ともいえます。ハプスブルグ帝国コレクションはもちろんのこと、古代エジプト・オリエントコレクションや古代ギリシア・ローマ・コレクションなど、つねに800枚ほどの作品が展示されている絵画ギャラリーや装飾美術コレクションなど、美術史美術館の広範囲で多様なコレクションは世界有数の規模を誇ります。
美術館入り口の右側にあるチケット売り場でチケットを買い、中央の扉から美術館に入るとインフォメーションやオーディオガイド受付デスクなどがある大きなエントランスホールに出ます。右側にはメインのミュージアムショップ、左側には無料のクロークやロッカーがあります。大きな荷物やリュックをお持ちの方は警備員に止められる場合があるのでクロークやロッカーを利用するのをおすすめします。インフォメーションには日本語のパンフレットもあり、オーディオガイドも日本語があるのでご安心を。
Update : 2014.10.1
文・写真 : 野々垣綾(Aya Nonogaki)
オーストリア・ウィーン在住。ファッションデザイナー
MMMライブラリではウィーン美術史美術館の関連書籍を閲覧いただける他、日本語のパンフレット(数量限定)もお持ち帰りいただけます。
※この情報は2014年10月更新時のものです。
*情報はMMMwebサイト更新時のものです。予告なく変更となる場合がございます。詳細は観光局ホームページ等でご確認いただくか、MMMにご来館の上おたずねください。