美術館オープン後初の企画展のタイトルは、「フランク・ゲーリーとルイ・ヴィトン財団 美術館2002-2014」(会期:2014年10月24日-2015年3月16日)です。この企画展ではゲーリーの生み出した類稀なルイ・ヴィトン財団美術館の建築に焦点をあて、その構造、空間、それらを造り出す技術を、数々の模型作品や映像資料を通し紹介しています。2002年に最初のエスキース(スケッチ)が描かれ、2014年に建築が完成するまでの間、財団との対話のもとに設計案が綿密に練られていく様子がここで明らかになります。展示室の中央で存在感を放っているのは、50分の1の縮尺で作られた完成形の模型。建築の全体像を眺めることで、その構造の複雑さと高い設計技術に改めて驚かされます。さらに来館者を待っているのは、実際に建物内を歩き回ることで展示の模型を「体感」するという貴重な体験です。企画展の行われているギャラリーだけでなく、建物全体が展覧会場と化し、フランク・ゲーリーの世界に思う存分浸らせてくれます。
企画展や所蔵コレクションの展示以外にも、建物の中に溶け込むように配された依頼製作によるアートの数々もルイ・ヴィトン財団美術館の見どころです。地下1階の水庭沿いの歩廊で、ゲーリーの建築にアクセントを添えているのはオラファー・エリアソン(Olafur Eliasson/1967-)の作品。ルイ・ヴィトン財団美術館の企画展第2弾を飾るアーティストです(会期:2014年12月17日-2015年2月16日)。2面が鏡、1面が
黄色いガラスのモザイクで覆われた三角柱が列を成し、LED照明で光を放ちながら万華鏡のような空間を造り出しています。またコンサートが開催されるオーディトリアムのカラフルなステージの背景は、エルズワース・ケリー(Ellsworth Kelly/1923-)によるもの。ここでは音楽、アート、建築の融合によるユニークな体験をすることができます。ほかにも1階レストランには、ゲーリーの手による魚の装飾、屋上テラスにはアドリアン・ヴィジャール・ロハス(Adrian Villar Rojas/1980-)の巨大オブジェなど、展示室の常設展とは異なるかたちで、空間に馴染んだ装飾的なアート作品を建物の随所で発見することができます。
[FIN]
Update : 2015.2.1 文・写真:増田葉子(Yoko Masuda)
*情報はMMMwebサイト更新時のものです。予告なく変更となる場合がございます。詳細は観光局ホームページ等でご確認いただくか、MMMにご来館の上おたずねください。