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ブレガンソン城塞マダムの連載の一部(10館)が本になりました。 バックナンバーを読む
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緑の大サロンは、デスタン大統領夫人によって居心地よく装飾されています。2台のソファーが暖炉の前に置かれています。布地やカーペットは緑色を基調としています。青いクリスタルの花瓶は、2013年にアメリカ合衆国の副大統領ジョー・バイデンからの贈りものです。

食堂には、六本足の大きなクルミ材のどっしりしたテーブルが置かれていて、より儀礼的な場となっています。公式な食事会に使われており、エリゼ宮から持って来たセーヴル焼の食器類(1907年)が揃えられています。同じく花柄の布で飾られており、錫製のすばらしいオランダ製シャンデリアがあります。窓の前の小さなテーブルには、ムスティエ窯のファイアンス陶器の美しい食器一式が置かれています。衝立の後ろには、配膳室と台所が隠されています。

エントランスホールを再び通って大統領の書斎のある2階へと参りましょう。書斎は塔の中にあり、遮られることなく海岸を眺望することができます。この部屋も、ほかの部屋同様、とてもシンプルな家具が置かれています。ここが官邸だということを思い起こさせるのは、オランド大統領の写真とフランス国旗のみ。革、木、宝石、半貴石でできた贅を尽くした事務用品セットは2013年4月にモロッコ国王ムハンマド6世から贈られたもので、ジュエリーのメゾン、ムニエ・エ・ブヴァールの品です。大統領の事務机の上の銀の金属製のペン軸は、トルコ共和国からの贈りものです。

外に出るときには、大統領付き将校がかつて寝室としていた部屋を通ります。ここの壁は第五共和政大統領の公式写真で埋め尽くされています。ポンピドーやジスカール・デスタンのように、この地でヴァカンスを過ごすのを好み、毎夏この静かな場所に立ち戻って、海や急な階段の下にあるプライベートビーチを楽しんだ大統領もいれば、ミッテラン(1916-1996)のように、短期間立ち寄っただけという大統領もいます。ミッテラン大統領の後、シラク大統領(1932-)は伝統を復活させ、足繁くここにやってきました。とても人気のあったシラク大統領は、ボルム=レ=ミモザ村の散歩も非常に好みました。ニコラ・サルコジ大統領(1955-)はここにはほとんどやってきませんでしたが、妻のセシリアとともに何日かヴァカンスを過ごしたことがあります。しかし、カルラ・ブルーニと再婚すると、ここから数キロのキャップ・ネーグル(ネーグル岬)にある彼女の別荘を訪れるようになり、ブレガンソン城塞は顧みなくなりました。オランド大統領は2012年には2週間滞在しましたが、2014年には、昼食会のために一度立ち寄っただけでした。

外に出る時には、小道を通って城塞を一周してみてください。海や島々や、ルクセンブルク大公国の領地のある海岸と素晴らしい砂浜のビューポイントがいくつかあります。蝉の鳴き声や、豊かな地中海の植生(ブーゲンビリア、オリーヴ、糸スギ、マツ、ミモザ、ローリエ)とその香りもお楽しみください。

コート・ダジュールをお訪ねになって、ましてやトゥーロンやイエールの近くまでいらっしゃるならば、必ずやブレガンソン城塞まで足をお伸ばしくださいね。地中海岸の素晴らしい眺望に恵まれたこの城塞は、フランス史へユニークなアプローチができるとても面白い場所。第五共和政大統領のほとんどが過ごした保養地で、彼らの日常生活を垣間見ることができるのですから。そう、ここはフランス人にとって神話的な場所と言えるスポットなのです。

友情を込めて。

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Update : 2015.6.1

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