ワイン博物館

ワインを巡る著名人の物語

 ワイン博物館では、ブドウ畑で用いたり樽を作ったりした、ワイン製造に関する道具など約2,000点の所蔵品を展示しています。また、ワインにまつわるフランスの著名人についての展示室やワイン製造の過程を紹介するコーナーでは、蝋人形によって当時の様子をリアルに再現しています。その中で、今回は3人の著名人にまつわる展示室をご紹介しましょう。

▲再現された樽作りの工房 ▲ワインを持ち運ぶ小型の樽
▲いろいろな時代のワインオープナー ▲19世紀後半の樽の装飾
▲<シャンベルタン>を好んだナポレオン1世の蝋人形

 ナポレオン1世(Napoléon Ier)は、ブルゴーニュ地方のワイン<シャンベルタン>を好み、ロシア遠征にも欠かさず持っていきました。ナポレオンがワインを飲む際には、少し水を足して楽しんでいたと伝えられています。

 また、“近代細菌学の父”と呼ばれるルイ・パストゥール(Louis Pasteur)は、飲料の腐敗を防ぐ殺菌法「パストゥリザシオン(Pasteurisation)」を開発しましたが、この殺菌法は、もともとはワインの保存状態の改善を望んだナポレオン3世(Napoléon III)の依頼によるものでした。ナポレオン3世はワインが長期的に保存でき、大量生産が実現すれば、庶民階級などにも購入層が広がり、さらにはフランス国外への輸出が可能になると考えていました。パストゥールがワインのために開発した殺菌法はのちに、ビールやシードル、牛乳などのほかの飲み物にも適用されました。

▲ワインの保存状態の改良研究をするパストゥールを再現した蝋人形

 『人間喜劇』などを執筆した作家オノレ・ド・バルザック(Honoré de Balzac)は、1840年から1847年にかけてパッシー地区のバス通り(rue Basse)、現在のレイヌアール通り(rue Raynouard)に住んでいました。バルザックは美食家で、大変な浪費家でもあり、常に借金取りから追いかけられていました。借金取りが家を訪ねてくると、バルザックは地下通路を使って逃げ出し、その通路は現在のワイン博物館の展示室に通じていたといいます。

▲借金取りから逃れるために地下通路を利用したバルザックを再現した蝋人形

 そしてワイン博物館のもうひとつの楽しみが、ランチタイムのみオープンしているレストランです。フォワグラのテリーヌや仔羊のモモ肉など、本格的な料理をワインとともに味わうことができます。また、さまざまな産地のワインとチーズを味わう夕食会なども開催されています(要予約)。博物館の多岐にわたる展示で、その歴史に触れたあとでいただくワインは、格別な味がするかもしれません。

▲博物館に併設されているレストラン
▲館内ではさまざまな地方のワインを購入できる。
Update :2010.11.1 文・写真:依田千穂(Chiho Yoda)
ページトップへ

パリ・ワイン博物館

  • 所在地
    Rue des Eaux - 5 Square Charles Dickens 75016 Paris
  • Tel
    +33 (0)1 45 25 63 26
  • E-mail
    info@museeduvinparis.com
  • URL
    http://www.museeduvinparis.com/
  • 開館時間
    10:00-18:00
    *レストランは博物館開館日の
    12:00-15:00
  • 休館日
    月曜日
  • 入館料
    一般:
    11.9ユーロ(日本語オーディオガイド+グラスワイン1杯付き)
    割引料金:
    9.9ユーロ(日本語オーディオガイド付き)
  • アクセス
    地下鉄6番線パッシー(Passy)駅より徒歩。

ワイン関連 MMFサロン講座

12/6(月)18:30-20:00
12/13(月)18:30-20:00
銀座にて『シャンパーニュの歴史とアート、そしてワイン』を開催!お申込み受付中。

MMFで出会えるパリ・ワイン博物館

  • インフォメーション・センターでは、パリ・ワイン博物館のガイドやパンフレット(日本語)などを閲覧いただけます。
 

*情報はMMMwebサイト更新時のものです。予告なく変更となる場合がございます。詳細は観光局ホームページ等でご確認いただくか、MMMにご来館の上おたずねください。

backnumber