
©Palais des Beaux-Arts de Lille
パレ・デ・ボザール2階には、16世紀から20世紀までの500点以上にのぼるヨーロッパ絵画が流派ごとに展示されています。リールという土地柄、フランドル絵画のコレクションが充実しているのが特徴です。
展示は古代ローマの美を規範としたロマニズムや、ミケランジェロやラファエロの影響を受けた、北方のマニエリスム作品や肖像画の展示からはじまります。

フランドル絵画の中で見逃せないのは、巨匠、ルーベンス(Peter Paul Rubens)やヴァン・ダイク(Anthony van Dyck)をはじめとしたルーベンスの弟子による宗教画です。リールのカプチン会の修道院からの注文で制作されたルーベンスの《キリスト降架》は、彼の代表作である、ベルギーのアントウェルペン大聖堂の祭壇画と良く似た構図で描かれた大作です。理想的な肉体美を誇る「神の子」キリストの威厳ある死を、鮮やかな色彩と躍動感溢れる構図で描いたバロック期のカトリック特有の作品と言えるでしょう。隣接した祭壇画の展示室でも、フランドルでプロテスタントと強く対峙していた、カトリックの教理を表す作品が多く集められています。

そしてフランドル絵画最後の展示室で注目したいのが、ピーター・ボエル(Pieter Boel)の静物画です。政治、宗教、芸術などを表す贅沢な品々が書斎の机やその周りを覆う様子が描かれていますが、それは、当時の特権階級の暮らしにひそむ「ヴァニタス」(虚栄のはかなさ)を暗示しています。

©Palais des Beaux-Arts de Lille
フランドル絵画の後に続くのは、フランス絵画の展示です。17世紀、18世紀のフランドルの影響を受けた絵画にはじまり、新古典主義のダヴィッド(Jacques-Louis David)、ボワリー(Louis Léopold Boilly)、ロマン主義のドラクロワ(Eugène Delacroix)、そして写実主義のクールベ(Gustave Courbet)と、主要な美術の流派とそれらの中心となった画家の作品が年代順に紹介されています。ルーヴルに次ぐフランス第二の美術館、そのコレクションの質の高さを感じさせる、贅沢な顔ぶれです。展示はさらにバルビソン派、印象派、象徴派と続き、フランス近代絵画の歴史を著名な画家の作品で辿っていきます。

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パレ・デ・ボザール2階の展示はそれだけに留まりません。オランダ絵画のギャラリー、そしてヴェロネーゼ(Paolo Veronese)やティントレット(Tintoretto)らヴェネツィア派を中心とするイタリア絵画のギャラリー、さらにリベーラ(Jusepe de Ribera)やゴヤ(Francisco de Goya)の作品を含むスペイン絵画の展示室が続きます。
ここには、スペインの巨匠ゴヤの2点の傑作が所蔵されており、美術館の白眉とされています。もともとは対で描かれた作品ではありませんが、現在は《恋文、または若い娘たち》《時、または老人たち》と対照的なタイトルが付けられ、並べて展示されています。若く美しい女性、醜く歳を重ねた女性、そのコントラストが強く印象に残る2枚です。
リール宮殿美術館ではこうした豊かな内容の常設展と同時に、さまざまなテーマの企画展を行っています。オールドマスターから現代美術まで、幅広い時代のコレクションを持つ美術館ならではの、時代にとらわれない多様性に富んだ企画展が魅力です。

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- 所在地
Place de la République 59000 Lille - Tel
+33(0)3 20 06 78 00 - Fax
+33(0)3 20 06 78 15 - E-mail
reservationpba@mairie-lille.fr - URL
http://www.palaisdesbeauxarts.fr/ - 開館時間
月曜日:14:00-18:00
水曜日〜日曜日:10:00-18:00 - 休館日
火曜日、1月1日、5月1日、7月14日、
9月第1週目の土曜日・日曜日、11月1日、12月25日 - 入館料
一般:5.5ユーロ
割引料金:3.8ユーロ
12歳以下:無料
- B1Fインフォメーション・センターでは、パレ・デ・ボザール リール宮殿美術館のカタログを閲覧いただけるほか、パンフレットをご用意しています。

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