ヨーロッパの多くの城がそうであったように、クロ・リュセ城もまたかつては要塞として機能していました。城の正面右手にある監視塔はその名残です。クロ・リュセ城の見学はこの監視塔2階の回廊から始まります。回廊からはレオナルドも眺めたであろう緑溢れる庭園や美しいファサードを望むことができます。ここからレオナルドの寝室へ入ります。ルネサンス時代の天蓋付きのベッドやキャビネットなど、レオナルドがここに暮らしていた当時をしのばせる品々が並びます。1519年の5月2日、レオナルドはこの寝室で、67年の生涯を閉じました。この寝室に続くのは、レオナルドが建築家、エンジニアとして多くのアイデアを手稿にしたためていた仕事部屋です。フランソワ1世のために発明した機械や建築の数々はこの部屋から生み出されました。1517年の手稿の多くには「アンボワーズのクルー城にて」と書き込まれており、この部屋がレオナルドの発明の“ゆりかご”であったことを物語ります。
城の1階へと降りると、15世紀末にシャルル8世によって造られた小さな礼拝堂があります。幼い子どもを亡くし悲嘆にくれていた妻のアンヌ・ド・ブルターニュ(Anne de Bretagne/1477-1514)のために造られたチャペルです。ブルーのアーチ型天井には王家のシンボルである百合の紋章が施され、壁にはレオナルドの弟子による4つのフレスコ画が描かれました。そのフレスコ画のひとつ《Virgo Lucis (光の聖母)》が、この城の名称「クロ・リュセ」の由来ではないかと考えられています。
礼拝堂に隣接するのは、クロ・リュセ城がアンボワーズ家の所有であった時代を再現した「18世紀のサロン」。唯一ほかのルネサンス様式の部屋とは異なる趣の空間です。そしてレオナルドがフランソワ1世をはじめとした来客を迎えた大広間、さらにレオナルドの料理人マチュリーヌ(Mathurine)の厨房が続きます。大広間に《モナリザ》や《洗礼者聖ヨハネ》のレプリカが掛けられているほか、厨房にも15世紀から16世紀のルネサンス時代の調度品が飾られ、レオナルドが生きていた当時を彷彿とさせる空間が演出されています。
城内の見学の最終行程となるのは建物の地下にある、レオナルドによる発明品を模型で再現した展示室です。この部屋では土木、水力、航空力学、軍事など、あらゆる分野での発明品の技術がグラフィック映像とともに分かりやすく紹介されています。史上初の自動車や飛行器具、旋回橋など、はるか未来を見通していたようなレオナルドの発明の数々には驚かされるばかり。またここではかつてアンボワーズ城とクロ・リュセ城をつないでいた、地下道の入り口を見学することができます。フランソワ1世はこの地下道を通って度々レオナルドを訪ねていたといい、こうしたエピソードからは国王がレオナルドをたいへん慕っていたという事実が伝わってきます。

- 所在地
2 rue du Clos Lucé - 37400 Amboise - Val de Loire - Tel
+33(0)2 47 57 00 73 - Fax
+33(0)2 47 57 62 88 - URL
http://www.vinci-closluce.com/ - 開館時間
1月:10:00-18:00
2〜6月:9:00-19:00
7〜8月:9:00-20:00
9〜10月:9:00-19:00
11〜12月:9:00-18:00
*「レオナルド・ダ・ヴィンチの庭園」はハイシーズンのみ公開(4月15日〜11月15日) - 休館日
1月1日、12月25日 - 入館料
〈3月1日〜11月15日〉
一般:13ユーロ
6〜18歳:8ユーロ
〈11月16日〜2月28日〉
一般:10ユーロ
6〜18歳:7.5ユーロ - アクセス
パリAusterlitz駅から直通電車で2時間、Amboise駅下車。またはパリMontparnasse駅からSt Pierre des Corps駅までTGVで1時間、St Pierre des Corps駅で乗り換え、Amboise駅下車
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