レオナルド・ダ・ヴィンチ最期の地 クロ・リュセ城

天才の秘密を探る「レオナルド・ダ・ヴィンチの庭園」

自然の中で触れて、体感する発明品

 絵画、解剖学、数学、軍事工学、都市工学、植物学と、多岐にわたる分野でその才能を開花させ〈万能の人〉とたたえられたレオナルド・ダ・ヴィンチ。その才能と知性に触れることができるのが、城の正面に広がるカルチャーパーク「レオナルド・ダ・ヴィンチの庭園」です。7ヘクタールもの広さを持つ敷地には、レオナルドの才能を集約するかのように、バラエティに富んだ内容の屋外展示が行われています。

 レオナルドの創造の源は自然であり、自然を注意深く観察することから、デッサン、絵画、発明品と、さまざまな作品が生み出されました。このカルチャーパークのコンセプトは、自然と一体となった見学コースをたどりながら、レオナルドのインスピレーションの源を発見するというものです。

 城の前から続く緩やかな坂を下っていけば、まずわたしたちを迎えてくれるのが、レオナルドの発明の中でも有名な、プロペラ機の実物大模型です。実際に飛ばすことはできませんが、現在のプロペラ機を彷彿とさせる形状に、レオナルドの類稀なる先見の明がうかがえます。

 さらに奥へと進んでいくと、不思議な形をした木製の戦車、機関銃、水辺の可動橋やスクリュー方式の水用ポンプなどの模型が現れます。レオナルドの設計図を基に忠実に再現された土木や軍事技術などの発明品の展示は、全部で20点ほどあり、それぞれ実際に触れて体感することができるのが大きな魅力です。

レオナルドの風景画から造った植物園

 そしてこのカルチャーパークに隣接して、レオナルドの描いた風景を基に造られた植物園があります。池の周囲には、レオナルドがスケッチをしたロワール川流域に自生するさまざまな植物が実際に植えられていて、池にはレオナルドが設計した二重橋が架けられています。イタリアのペストの被害を受けて発明された二重橋は、家畜用の通路と人間のための通路を区別することを目的に設計されました。ペストの流行が町の衛生に関連していたことから、レオナルドはこうした画期的な改善策を編み出したのです。

 これらレオナルドの偉大な発明の数々、また芸術作品に触れながら、庭園内に差す光や水の流れ、草花のフォルムをぜひ、観察してみてください。観察すること、思考すること、想像することの大切さに改めて気付かされることでしょう。クロ・リュセ城の庭園には、こうしたレオナルドの人生そのものが示した哲学が、そこかしこに息づいているのです。

[FIN]

Update : 2011.7.1 文・写真:増田葉子(Yoko Masuda)
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クロ・リュセ城

クロ・リュセ城

  • 所在地
    2 rue du Clos Lucé - 37400 Amboise - Val de Loire
  • Tel
    +33(0)2 47 57 00 73
  • Fax
    +33(0)2 47 57 62 88
  • URL
    http://www.vinci-closluce.com/
  • 開館時間
    1月:10:00-18:00
    2〜6月:9:00-19:00
    7〜8月:9:00-20:00
    9〜10月:9:00-19:00
    11〜12月:9:00-18:00
    *「レオナルド・ダ・ヴィンチの庭園」はハイシーズンのみ公開(4月15日〜11月15日)
  • 休館日
    1月1日、12月25日
  • 入館料
    〈3月1日〜11月15日〉
    一般:13ユーロ
    6〜18歳:8ユーロ
    〈11月16日〜2月28日〉
    一般:10ユーロ
    6〜18歳:7.5ユーロ
  • アクセス
    パリAusterlitz駅から直通電車で2時間、Amboise駅下車。またはパリMontparnasse駅からSt Pierre des Corps駅までTGVで1時間、St Pierre des Corps駅で乗り換え、Amboise駅下車
 

*情報はMMMwebサイト更新時のものです。予告なく変更となる場合がございます。詳細は観光局ホームページ等でご確認いただくか、MMMにご来館の上おたずねください。

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