流行の発信地としてつねに世界の注目を集めるモードの都パリ。
MMFではモードに関するパリの展覧会を2回にわたって連載でご紹介します。
第1回目のテーマは1977年にパリの16区に開館した
モード専門の市立美術館、ガリエラ美術館です。
時代とともにスタイルを変え、その度に流行を生み出してきた
服飾の文化や歴史を、さまざまな視点の企画展を通して
紹介し続けている美術館です。
MMFではモードに関するパリの展覧会を2回にわたって連載でご紹介します。
第1回目のテーマは1977年にパリの16区に開館した
モード専門の市立美術館、ガリエラ美術館です。
時代とともにスタイルを変え、その度に流行を生み出してきた
服飾の文化や歴史を、さまざまな視点の企画展を通して
紹介し続けている美術館です。

ガリエラ美術館では常設展は行っておらず、年に2回ほど開かれる企画展でのみ、そのコレクションを観ることができます。布製の服飾品は照明の影響でたいへん傷みやすく、長期間展示するのには保存上問題があるため、定められた期間内での公開となっているのです。 18世紀から現在までの3世紀にわたる服飾品のコレクションには、衣服だけでなく、帽子、靴、バッグ、扇、パラソル、またアクセサリーなどの装身具も含まれており、その数は90,000点に及んでいます。

では、展覧会のタイトルにもなっている「クリノリン」とは、なんでしょうか?それは、第二帝政期に流行したスカートを膨らませて見せるためのペチコートの名称です。もともとペチコートは、馬の毛などを使用した布素材で作られていましたが、1850年代後半になると複数の金属製の輪が連なった骨組みが使用され始めます。その輪の直径は、スカートの裾部分で約180cmにまで達し、当時の女性の間では大きなドーム状の形をしたスカートが大流行しました。1867年以降は腰にクッションを当てるなどしながら、後部に膨らみをもたせる形へと変化していきます。近代化していく社会とは裏腹に、18世紀の王室のノスタルジーを感じさせるボリュームのあるシルエットは、当時の上流階級の女性のドレスの主流となります。

文・写真:増田葉子(Yoko Masuda)
著者プロフィール
明治大学文学部史学地理学科卒業後、パリ第4大学(ソルボンヌ大学)で美術史学を専攻し、修士課程修了。現在同大学美術史学博士課程。専門は19世紀後半の装飾美術、主にジャポニスム。
著者プロフィール
明治大学文学部史学地理学科卒業後、パリ第4大学(ソルボンヌ大学)で美術史学を専攻し、修士課程修了。現在同大学美術史学博士課程。専門は19世紀後半の装飾美術、主にジャポニスム。


- 所在地
10, avenue Pierre 1er de Serbie 75016 Paris - Tel
+33(0)1 56 52 86 00 - Fax
+33(0)1 47 23 38 37 - アクセス
地下鉄イエナ(Iéna)駅、またはアルマ・マルソー(Alma Marceau)駅より徒歩。
※ガリエラ美術館は企画展開催期間のみ開館。 - 企画展情報
「クリノリンの帝国のもとで〜1852-1870」 【開催期間】
2008年11月29日-2009年4月26日
【開館時間】
火曜〜金曜は10 :00-18 :00、
土曜・日曜は10 :00-19 :00
【休館日】月曜
【入館料】一般:8.5ユーロ、割引料金:7ユーロ、14歳-26歳: 4.20ユーロ
※この企画展の図録は、MMFインフォメーション・センターにて閲覧いただけます。

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