
第二帝政の初めの10年間は、比較的落ち着いた色合いのドレスが目立ちますが、1860年代になるとドレスの装飾も多様化し、その華やかさを増していきます。レースやリボン、花飾りにチュールなど、とても手の込んだ装飾が施されたドレスはこの時期の典型的なスタイルです。髪飾りに関しても造花やリボン、羽などがふんだんに使用され、ドレスと贅沢にコーディネートされました。
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▲舞踏会用の縞模様のドレス(1868-1869年) © Stéphane Piera / Galliera / Roger-Viollet |
▲黒の繊細なレースを重ねた舞踏会用のドレス(1866-1867年) © Stéphane Piera / Galliera / Roger-Viollet |
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舞踏会は女性にとって、自慢のアクセサリーを披露する場でもありました。展示品の中で第二帝政期特有のデザインとして挙げられるのが、カンパーナ(Campana)コレクションからインスピレーションを受けた古代風デザインのネックレスとイヤリングです。カンパーナコレクションとは当時ナポレオン3世が購入した膨大な数の古代美術品で、現在それらのコレクションはルーヴル美術館に所蔵されています。

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▲ベージュの夏用のアンサンブル(1866年頃)。素材によっては機械による布地やレースの大量生産も行われた © Stéphane Piera / Galliera / Roger-Viollet |
▲バイオレットの街着( 1868年頃)。当時は化学の進歩で鮮やかな人工色が開発され、ドレスに用いられた © Stéphane Piera / Galliera / Roger-Viollet |
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展示室ではドレスとともに帽子やバッグ、パラソルや扇などの小物類の展示も観ることができます。パラソルや扇は実用性だけでなく、アクセサリーとしても機能するため、女性にとっては重要な小物でした。パラソルの柄には彫刻が施され、扇の骨部分はみごとな螺鈿で装飾されるなど、18世紀の王侯貴族に劣らない、当時の人々のモードに対する情熱を垣間見ることができます。バッグ類はそれまでの小さな手提げバックに留まらず、実用的な旅行用のバッグなどがこの時期、デパートでも売り出されます。
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▲レースが施されたパラソル。象牙や珊瑚でできた柄は、細かい彫刻で装飾されている © Yoko Masuda |
▲銀、象牙、クリスタルで作られた旅行の必需品とその道具箱(1870年頃) © Yoko Masuda |

文・写真:増田葉子(Yoko Masuda)
著者プロフィール
明治大学文学部史学地理学科卒業後、パリ第4大学(ソルボンヌ大学)で美術史学を専攻し、修士課程修了。現在同大学美術史学博士課程。専門は19世紀後半の装飾美術、主にジャポニスム。
著者プロフィール
明治大学文学部史学地理学科卒業後、パリ第4大学(ソルボンヌ大学)で美術史学を専攻し、修士課程修了。現在同大学美術史学博士課程。専門は19世紀後半の装飾美術、主にジャポニスム。

- 所在地
10, avenue Pierre 1er de Serbie 75016 Paris - Tel
+33(0)1 56 52 86 00 - Fax
+33(0)1 47 23 38 37 - アクセス
地下鉄イエナ(Iéna)駅、またはアルマ・マルソー(Alma Marceau)駅より徒歩。
※ガリエラ美術館は企画展開催期間のみ開館。 - 企画展情報
「クリノリンの帝国のもとで〜1852-1870」 【開催期間】
2008年11月29日-2009年4月26日
【開館時間】
火曜〜金曜は10 :00-18 :00、
土曜・日曜は10 :00-19 :00
【休館日】月曜
【入館料】一般:8.5ユーロ、割引料金:7ユーロ、14歳-26歳: 4.20ユーロ
※この企画展の図録は、MMFインフォメーション・センターにて閲覧いただけます。

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