発泡性ワインであるシャンパンの産地として世界的に知られています。
そしてこのシャンパーニュ地方の中心地ランスは、シャンパン製造の中心地で
あるのはもちろん、フランスの歴代の王が戴冠したカテドラルを擁する古都でもあります。
「ワインとミュゼ」のシリーズ特集の幕開けは、
ユネスコ世界遺産にも登録されている古都ランスから始めましょう。
©Takuya Neda

ランスと聞くと、フランス人がまず思い浮かべるのは、498年にフランク族の王、クロヴィス1世(Clovis Premier)がこの地で聖レミから洗礼を受けたことかもしれません。これによってクロヴィスはキリスト教が認めた初の元首となり、フランスの基礎となるフランク王国を築きました。洗礼を受けた途端、クロヴィス1世の旗印であった蛙は、現在の王家の紋章である百合に変わったといわれています。こうしてランスは歴代の王の戴冠式が行われる地となり、13世紀から19世紀まで、25人にのぼる歴代の王がランス大司教から冠を授けられ、神が認めるフランス国王となったのです。

戴冠式の舞台となったのは、ランスのノートルダム大聖堂でした。1211年に着工された壮大なゴシック建築のこの大聖堂は、歴史的に重要なだけでなく芸術的価値も高いことで知られています。
外壁にある2,300体あまりの彫刻のうち、とくに有名なのが正面左側にある《微笑む天使》です。微笑んでいる像は珍しく、自然なしぐさや簡素な美しさを際立たせた13世紀のシャンパーニュ地方の彫刻スタイルの代表的なものです。
また入り口上にある13世紀に制作されたバラ窓は、ひじょうに色彩が美しく、とくに青は現在の技術では再現不可能な色といわれています。夕陽に映える時刻に見ることができれば、その美しさをより味わうことができるでしょう。
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ランスにはこの大聖堂を含め、世界遺産に指定されているモニュメントが4つもあります。13世紀に建造され、ルイ14世(LouisXIV)治下の17世紀に改築されたランス大司教の館だった「トー宮殿」、ロマネスクとゴシックの建築様式が混在する「サン・レミ聖堂」、そして現在はサン・レミ博物館となっている「サン・レミ旧大修道院」です。
黄金に輝く極上のシャンパンのように、ランスも芳醇な歴史の香りを街のあちこちに留めているのです。
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- パリ・東駅から鉄道で約1時間30分。シャンパーニュ地方の中心地ランスは、19世紀初頭のシャルル10世まで25人の歴代のフランス王が戴冠式を行ってきた歴史ある街。シャンパンの一大産地でもあり、世界遺産に指定された街中のモニュメントと、郊外に広がる一面のぶどう畑という、歴史と自然の恵みの2つの魅力を併せもつ。市内にはシャンパンセラーが点在し、気軽に見学も可能。
- ランス観光局
http://www.reims-tourisme.com/
- 見学可能時間
7:30-19:30
※日曜ミサの時間(9:00-10:15)は入場不可。
- 開館時間
〈5月6日‐9月8日〉
9:30‐18:30
〈9月9日‐5月5日〉
9:00‐12:30、14:00‐17:30 - 休館日
月曜、1月1日、5月1日、11月1日、11月11日、12月25日 - 入館料
一般:6.5ユーロ
18‐25歳:4.5ユーロ
17歳以下:無料
- 見学可能時間
8:00‐19:00
- 開館時間
14:00‐18:30
※土曜、日曜は19:00まで開館。 - 休館日
1月1日、5月1日、7月14日、11月1日、11月11日、12月25日 - 入館料
一般:3ユーロ
16歳以下:無料
※毎月第1日曜は無料。
*情報はMMMwebサイト更新時のものです。予告なく変更となる場合がございます。詳細は観光局ホームページ等でご確認いただくか、MMMにご来館の上おたずねください。