
ボルドーは紀元前3世紀にガリア人によってつくられたといわれる古い都市です。ローマ時代よりワイン産業と水運により栄え、12世紀から約300年にわたりイギリスの支配下におかれることになります。イギリス人はボルドーのワインを愛し、特に赤ワインは<クラレット>という愛称で親しまれてきました。14世紀半ばから始まった百年戦争の勝利によってフランスがボルドーを奪回してからも、ボルドーはイギリス統治時代から引き継いだ自治の気風を残した国際的な都市であり、18世紀に入ってからは植民地を結ぶ海運によって隆盛を極めます。その富によってボルドーはパリより1世紀も早い近代的都市計画を進め、石造りの壮麗な街並みを作り上げました。その美しさを19世紀の文豪ヴィクトル・ユゴー(Victor Hugo)は「ヴェルサイユとアントワープ(Antwerpen)の合体」、作家で文相でもあったモーリス・ドルゥオン(Maurice Druon)は「ヨーロッパ一、ゆえに世界一美しい都市のひとつ」と称えました。

そしてボルドーは2007年、ユネスコ世界遺産に指定されました。この街は中心部でジロンド川が緩く迂回しているため、その三日月型のカーブにちなんで<月の港>という別名をもちますが、世界遺産の認定はこの<月の港>部分に並ぶ歴史的建造物の偉容と保存のよさに与えられたものです。一方、古いものを守りながらも、市街地にフランスで最初に架線のない新型トラムを導入するなど、進取の気概があることもボルドーの特徴です。

街の見どころは、この地方出身者の多くで構成され、革命時に悲劇的運命を辿った穏健共和派ジロンド党(Girondins)の記念碑があるカンコンス広場(Place des Quinconces)、ルイ15世様式の証券取引所と19世紀の三女神の彫刻があるブルス広場(Place de la Bourse)、ルイ16世様式で12の女神が正面の列柱の上に並ぶ大劇場、そして11世紀から15世紀までの様式が見て取れる聖アンドレ大聖堂(Cathédrale Saint-André)をはじめとした教会群などがあります。
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最後に19世紀建立のアーチが美しい石造りのピエール橋(Pont de Pierre)を渡って、対岸から街を眺めてみてください。高さが統一された街並、そびえ立つ教会の尖塔――。ジロンド川の川面の向こうに、素晴らしいパノラマが広がります。3世紀もの間、市民が誇りとしてきたボルドーの美しい姿です。
- パリのモンパルナス駅からTGVアトランティック線で約3時間。ボルドー・サンジャン駅下車。フランス南西部アキテーヌ地方の中心地ボルドーは、ガロンヌ川沿いに開けた世界的なワインの生産地。古くからワインの生産と交易で栄え、ワインの富は街に壮麗な建物群をもたらした。
- ボルドー観光局
http://www.bordeaux-tourisme.com
- MMFインフォメーション・センターでは、ボルドーを中心としたアキテーヌ地方の美術館や博物館の図録などを閲覧いただけます。

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