TOPへ

シャンパーニュ地方

ブルゴーニュ地方

アキテーヌ地方


ワインの里となった中世の城塞都市 サン=テミリオン
ユネスコ世界遺産にも登録されているワインの里サン=テミリオン(Saint-Émilion)。石造りの家々が建ち並ぶ中世の面影をたたえた村では、毎年6月、ワインの伝統儀式が催されます。古い儀式を守る人々の姿には、この土地で育まれる“宝”であるワインに対する愛情と深い感謝の想いが込められているのです。
©Fabian Charaffi / ©Kumiko Tanaka
▲サン=テミリオン全景。

 ボルドーから内陸部へ約35km、ぶどう畑に四方を囲まれた高台にサン=テミリオンの村があります。村の建物のほとんどが石造りで、緑の畑、青い空と美しいコントラストをなしています。サン=テミリオンは1999年に近くの7つの村と共にユネスコ世界遺産に登録されました。中世の面影が残る村、そして周囲のぶどう畑をも含んだ環境に対する認定です。

▲サン=テミリオンのランドマークの鐘楼。その下に見える入り口はモノリス教会。聖エミリオンの庵も地下にある。

 もともとサン=テミリオンは、8世紀にフランス北西部のブルターニュ(Bretagne)からやって来た聖人エミリオン(Saint Émilion)が庵を開いたことが村の起源とされています。この村は大きな岩盤の上につくられ、民家などの建材は地下から掘り出した石灰石です。村の下には200kmにもわたる石切り場跡が縦横無尽に走っています。その一部には1枚岩をくり抜いて造られたモノリス教会やカタコンベなどがあり、中世には巡礼者も訪れる聖地となりました。


▲正装のジュラ。

 ルイ14世(LouisXIV)が「神のネクター」と呼んだ素晴らしい赤ワインの生産地として知られ、特級のメゾンも集中しています。またこの地には中世から続くワインの伝統儀式、ラ・ジュラードが今も残っています。ワインの品質を管理するために選ばれたジュラと呼ばれるメンバーが、6月に新しいワインの判断を行い、9月にはぶどうの収穫を宣言するのです。革命後にこの儀式は一度廃れましたが、1948年に再開されました。ジュラたちは赤と白の正装で王の塔に上り、町中を練り歩きます。6月のセレモニーには主賓であるモナコのアルベール王子をはじめ、世界から400人もの招待客を招き、村にある参事会聖堂の中庭に宴が繰り広げられました。このシンボリックな伝統行事は世界中に紹介され、サン=テミリオンの知名度を上げる役割を果たしています。

▲今年の主賓はモナコのアルベール王子だった。   ▲晩餐に向かうジュラたち。
▲新しいワインの発表。
©Anne Lanta/Agence Heurisko
  ▲サン=テミリオンのジュラード式典
©Anne Lanta/Agence Heurisko

 この時期にはサン=テミリオンの村全体もお祭りとなります。ワインのサロンやコンサート、また愛好家が参加するアートの展覧会などが開催され、村中が賑わいます。爽やかな6月の気候、見わたす限りの緑、美しい村、そしておいしいワインと、この時期のサン=テミリオンでは至福の時間を過ごすことができるでしょう。

▲お祭りの際に開かれたアートの展覧会。   ▲ワインのサロン。グラスを2ユーロで購入すれば、すべてデギュスタシオン(試飲)できる。
田中久美子(Kumiko Tanaka/文・写真)
ページトップへ
前のページへ

整然とした都市美を誇る豊かな街、ボルドー

アキテーヌ地方博物館

「ワインとは西洋文明のシンボルである」

サン=テミリオン

サン=テミリオン基本情報

  • ボルドーの北東約35km、ドルドーニュ川右岸に位置するサン=テミリオンへは、ボルドーから列車で約1時間。この地のワインの味は、中世の頃、スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラへ向かう巡礼者の間で人気となり、その名が広まった。ジロンド川左岸のメドック地区と並ぶボルドーの赤ワインの産地。
  • サン=テミリオン観光局
    http://www.saint-emilion-tourisme.com/

 

*情報はMMMwebサイト更新時のものです。予告なく変更となる場合がございます。詳細は観光局ホームページ等でご確認いただくか、MMMにご来館の上おたずねください。