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シャンパーニュ地方

ブルゴーニュ地方

アキテーヌ地方


シャンパンとはシャンパーニュ地方産のぶどうを使って、
シャンパン法と呼ばれる独自の発酵方法によって作られた発泡酒のことです。
この地で作られた発泡酒だけがシャンパンと名乗ることができます。
17世紀の修道士、ドン・ペリニョン(Dom Perignon)が第1次発酵が終わったワインを
ブレンドすることを考案し、糖分を加えて第2次発酵の時に炭酸ガスを発生させることで、
爽やかな飲み心地の酒が生まれました。
▲老舗メゾンとして世界的に名高いヴランケン・ポメリー社の外観。正面にはスーパーのカートを積んで作ったスロヴェニアのアブサード(Absurd)のオブジェ《消費のモニュメント》(2008年)が見える。

 ランスは隣町のエペルネ(Epernay)とともにシャンパン醸造の中心地として名を馳せています。ランスの地下はローマ時代の石切り場となっており、年間を通して10度前後という安定した温度を保てるので、シャンパンの醸成にぴったりなのです。ランスにシャンパンのメゾンが多いのは、この採石場を利用しているからです。
 ヴランケン・ポメリー社のカーヴは地下30m、全長18kmもある広大なものです。116段の階段を下ると、ひんやりとした冷気が感じられます。

フランス王家ゆかりの 古都ランス

ランスのアートスポット  ランス美術館

ランスのアートスポット  フジタ礼拝堂

シャンパンの聖地とアートの マリアージュ

壁のところどころにローマ人がつけた、のみの跡が見えます。ポメリー社のシャンパンを辛口に改良し、世界的に有名にしたのは19世紀末にこのメゾンを夫から引き継いだマダム・ポメリー(Madame Pommery)ですが、彼女は芸術の愛好家でもありました。カーヴ内には彼女が作らせた巨大なレリーフが、また階上の入り口の広間にはエミール・ガレ(Charles Martin Émile Gallé)が1904年の万博に出品した大樽があります。

▲地下のカーヴへと続く階段。   ▲カーヴに眠るヴィンテージの銘酒。このカーヴで熟成されているシャンパンは約2,500万本にものぼる。   ▲1904年の万博の際に出品されたエミール・ガレの手による大樽。新天地アメリカでのシャンパン人気の様子が表されている。
▲地下30mに突如出現したビーチ。スペインのエンリケ・マルティ(Enrique Marty)の《日光浴》(2008年)。   ▲フランスのセレスト・ブールジエ=ムジュノ(Céleste Boursier-Mougenot)の《From here to ear》(2008年)。なんとこのカーヴの中で小鳥が飼育されており、置いてあるギターの弦に触れて音を奏でる。

 その伝統を継承し、ヴランケン・ポメリー社はカーヴで定期的にアート作品の展示を行っています。6月末まで開催されているのは、EC加盟27カ国の54人のアーティストの作品を紹介する「現代ヨーロッパのアート」展です。各国のアート雑誌と提携し、まさにその国の“今”を表現する作家ばかりを一堂に集めた、興味深い展覧会となっています。またカーヴ内に展示するため、その場で創作されたものもあり、ここでしか見られない作品もいくつかあります。政治や歴史、社会的背景を投影したメッセージ性の強い作品も多く、同時代を生きる多くの人々に鑑賞してもらいたいと願わずにはいられない展覧会です。

▲21世紀の聖母と14世紀の聖母の対比の面白さ。スペインのアビガリ・ラズコッツ(Abigali Lazkoz)の《Doing dead man's float》(2007年)。   ▲EC内の力関係を皮肉ったルーマニアのボグダン・テオドレスキュ(Bogdan Teodorescu)の《権力は私の手の中に Le Pouvoir est dans ma main》(2008年)。   ▲マダム・ポメリー時代に作られた人魚のレリーフの前にある黒い船。これは実際に船舶事故によってオイルに汚染されたものばかりを寄せ集めて作られている。ポルトガルのアーティスト、ホアオ・ペドロ・ヴァレ (Joao Pedro Vale) の《Barco Negro》(2004年)。
田中久美子(Kumiko Tanaka/文・写真)
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