この施療院は、フィリップ善良公(Philippe le Bon)の大法官ニコラ・ロラン(Nicolas Rolin)が
貧者への医療救済を目的として1443年に建てたもので、1971年まで5世紀に渡って病院として使われました。
施療院の運営資産として大法官ロランによって寄付されたぶどう畑からは、
今も特級のワインが作られ、その売り上げが施療院の維持に役立っています。
現在、ボーヌの医療施設は他の場所に移り、施療院は設立当時を再現した博物館となっています。
まず施療院の門をくぐると、色屋根が美しい中庭に出ます。一枚ずつ着色した瓦を、モザイク状に飾った屋根の張り方はベルギーから伝わったもので、非常に高価なものでした。フランスとフランドルの様式を融合した豪華な建築からは、フランドルと密接な関係を結んでいた当時のブルゴーニュ公国の繁栄が偲ばれます。
順路を辿るとすぐに<貧者の部屋>に出ます。縦72mの大広間の両端にベッドがズラリと並んでいます。当時貧しい病人はひとつのベッドに何人も寝かされていましたが、この施療院では一人ずつ寝かせました。施設の豪華さもあいまって「貧者の宮殿」と呼ばれましたが、これは2次感染を防ぐ上でも画期的なことでした。また木製の食器を錫製にするなどして、衛生面にも一層の注意が払われていました。
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<聖ユーグの部屋>では、シスターたちによる看護の様子が再現されています。その次の<聖ニコラの部屋>では、施療院の歴史やワインとの関わりを示す資料が展示されています。また、地下水を下水道として用いるなど、当時としては最新の設備を備えていた建物の構造についても、解説がされています。薬瓶がズラリと並んだ薬局を見た後は、当時の活気を今に伝える台所へ。ここには17世紀の自動回転グリルが保存されています。
最後はフランドル絵画の傑作≪最後の審判≫の展示室へ。大法官ロランが施療院のためにフランドルの巨匠ファン・デル・ウェイデン(Rogier van der Weyden)に注文したもので、1445年から3年の月日をかけて描かれました。中央にはキリスト、その下に天秤を持って、死者の行く先を天国と地獄に分ける聖ミカエルの姿が描かれています。非常に繊細な筆致で、展示室では大きな拡大鏡が用意され、細部を見ることができます。左側の壁に掛けられた14世紀のタピスリーもまた、中世美術の傑作。100以上の花がちりばめられた庭で、聖エロワが馬を連れて聖母に挨拶をする姿が描かれた美しい一枚です。
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- 所在地
2 rue de l'Hôtel-Dieu
21200 BEAUNE - Tel
+33(0)3 80 24 45 00 - Fax
+33(0) 3 80 24 45 99 - E-mail
hospices.beaune@wanadoo.fr - 開館時間
<1月1日〜3月20日>
・9:30-11:30、14:00-17:30
<3月21日〜11月15日>
・9:00-18:30
<11月16日〜12月31日>
・9:00-11:30、14:00-17:30 - 入館料
一般:6.5ユーロ
10歳以下:無料
- MMFインフォメーション・センターでは、施療院やディジョン美術館の図録のほか、ブルゴーニュ地方に関するガイドブックなどを閲覧いただけます。

*情報はMMMwebサイト更新時のものです。予告なく変更となる場合がございます。詳細は観光局ホームページ等でご確認いただくか、MMMにご来館の上おたずねください。