1.星の王子さま「ル・プティ・プランス」と作者サン=テグジュペリ2.パリにサン=テグジュペリの 足跡をたずねて3.書簡と直筆博物館4.ル・ブルジェ 航空宇宙博物館

ル・ブルジェ航空宇宙博物館

サン=テグジュペリにゆかりのあるル・ブルジェ空港敷地内にあるこの博物館では、飛行士、そして小説家の両面からサン=テグジュペリを紹介する常設展示を行っています。

航空の歴史とともに歩んできた博物館

▲第一次大戦時のドイツ製軍用機PFALZ D.XII。
©Yoko Masuda

 パリの北部から車で10分ほどのところにあるこのミュゼは、ル・ブルジェ空港の一角にあり、航空機や宇宙開発といった「飛行」をテーマにしている博物館です。その歴史は古く、コレクションの始まりは飛行機の有人動力飛行の成功から間もない1919年にまで遡ります。飛行船や第一次世界大戦に使用された軍用機、モーターのコレクションを中心に、博物館は1912年にパリの南部に開館しました。その後コレクションの増加に伴い、ル・ブルジェ空港への移転が決まり、1975年、現在の博物館ができあがります。以降 1983年まで2年おきに新しい展示ホールを開館し、展示面積を拡大してきました。

▲屋外に展示されている打ち上げロケットの原寸大模型とボーイング機。
©Yoko Masuda

 航空機の黎明からその発達とともにコレクションを増やし続け、現在ではコンコルド、ボーイング機、ロケットまでをカバーする規模となっています。世界で最も古い航空に関するこの博物館は、まさに人類の「飛行」の歴史とともに歩んできた博物館といえるでしょう。

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ル・ブルジェに戻ってきた飛行士、サン=テグジュペリ

▲1998年に発見されたサン=テグジュペリのブレスレット。サン=テグジュペリ、妻コンスエロ、アメリカの出版社の名前が刻まれている。
©MAE/ Alexandre FERNANDES

 2006年、サン=テグジュペリの『夜間飛行』の出版75周年を記念して、スイスの高級時計会社であるIWCがメセナとなり、この博物館にサン=テグジュペリに関する展示スペースが新しく設けられました。300m²のスペースを利用したこの常設展示では、航空郵便の先駆者、軍の飛行士、また多才な芸術家としてのサン=テグジュペリの魅力を、貴重なコレクションとともに紹介しています。

▲2002年の発見の翌年9月に引き揚げられたサン=テグジュペリが乗った飛行機の残骸。
©MAE/ Alexandre FERNANDES

 展示品のなかでも特別なのは、サン=テグジュペリの名が刻まれた銀製のブレスレットと、それが発端となってマルセイユ沖から発見された、サン=テグジュペリの飛行機の機体の一部です。ブレスレットは1998年、マルセイユの漁師によって偶然船の網に掛かっているのが発見されました。この奇跡的な発見により、それまで不明であったサン=テグジュペリの飛行機の墜落場所がある程度特定されることとなったのです。

▲サン=テグジュペリの初版本、鞄、レジオン・ドヌール勲章の展示。
©MAE/ Alexandre FERNANDES

その後海中で飛行機の捜索が行われ、2003年の9月に地中海から残骸が引き揚げられました。発見された機体は、刻印されていた番号からサン=テグジュペリが最期に乗っていたP38ライティング機で間違いないと確認されています。現在博物館で展示が行われているのは、この時に引き揚げられた機体の着陸装置部分とターボコンプレッサーの一部です。

▲航空郵便会社アエロポスタルのポスターと郵便機の模型。
©MAE/ Alexandre FERNANDES

 こうした航空関係の展示に加え、サン=テグジュペリの直筆のデッサン、レジオン・ドヌール勲章、原稿を持ち運ぶ際に使用していたと思われる鞄など、彼の飛行士以外の生前の姿を彷彿とさせる内容のコレクションが多数展示されています。飛行士という職業が彼の小説に多大な影響を与えたことは広く知られていますが、改めて飛行士と小説家という2つのサン=テグジュペリの顔が、切っても切り離せないものであることを強く印象付けてくれる展示内容です。

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著者プロフィール
増田葉子(Yoko Masuda):明治大学文学部史学地理学科卒業後、パリ第4大学(ソルボンヌ大学)で美術史学を専攻し、修士課程修了。専門は19世紀後半の装飾美術、主にジャポニスム。
 
PARIS MUSEUM PASS 利用可能施設

ル・ブルジェ航空宇宙博物館

  • 所在地
    Aéroport de Paris - Le Bourget BP 173, 93352 Le Bourget
  • Tel
    +33(0)1 49 92 70 00
  • URL
    http://www.mae.org/
  • 開館時間
    <4月1日〜9月30日>10 :00-18 :00
    <10月1日〜3月31日>10 :00-17 :00
  • 休館日
    月曜日
    12月25日、1月1日
  • 入館料
    常設展は無料
    <飛行機内の見学>
    一般 :6ユーロ、26歳以下:4ユーロ
    <プラネタリウム>
    一般:5ユーロ、26歳以下:3ユーロ
  • アクセス
    地下鉄7番線、東駅(Gare de l'Est)から350番線のバスに乗り、Musée de l'Air et de l'Espace下車。または地下鉄7番線、ラ・クルヌーヴ駅(La Courneuve)から152番線のバスに乗り、Musée de l'Air et de l'Espace下車。

MMFで出会える ル・ブルジェ航空宇宙博物館

  • MMFインフォメーション・センターでは、ル・ブルジェ航空宇宙博物館のカタログやパンフレットなどを閲覧いただけます。
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