プティ・ビジュー

小さな宝石を育んだ故郷アルビを訪ねて

ロートレックが愛したボスク城

Château du Bosc

伯爵夫人が語る画家トゥールーズ=ロートレック

現在ボスク城に住まわれているロートレックのいとこガブリエル・タピエ・ド・セレイランの末裔のマダム、ニコル・タピエ・ド・セレイラン伯爵夫人に、ロートレックのボスク城でのさまざまなエピソードについて語っていただきました。

MMF:ロートレックは画家になってからも

頻繁にボスク城を訪れたそうですね。

▲インタヴューに応じてくださったニコル・タピエ・ド・セレイラン伯爵夫人

ニコル・タピエ・ド・セレイラン伯爵夫人(以下Nicole):当時ボスク城には姉妹であるふたりのロートレックの祖母が住んでいて、彼女たちは孫のロートレックを大変かわいがっていました。ロートレックは晩年を除いて、この城を毎年訪れては祖母たちを楽しませ、持ち前のユーモアで大いに笑わせていたそうです。ロートレックが成人してから城で撮られた写真や、アメリカ人の収集家が所有しているロートレックの手紙の内容からも、彼がここを頻繁に訪れていたことが分かります。手紙にはボスク城で働く使用人にまで「よろしく伝えてほしい」とつづられており、ロートレックが家族のみならず、ボスク城に関係するすべての人間に愛情を持っていたことが伝わってきます。ロートレックは周囲を楽しませる才能に本当

▲城内に飾られたロートレックのふたりの祖母の肖像画

に長けていたんですよ。祖母たちを喜ばせるのはもちろん、いとこのガブリエルをからかうのがとても好きだったようです。

MMF:ロートレックといとこの医師ガブリエルとは

とても親しい仲だったようですが。

▲いとこガブリエルの横顔など、オランジュリーの壁に残るロートレックのデッサン

Nicole:ガブリエルは医師になるための勉強をパリでしていたこともあり、同じくパリで活動していたロートレックとは深い親交を持っていました。不運にもロートレックが若くして病床に伏し、病状が悪化した際も、ガブリエルが彼に付き添っていたのですよ。現在もアルビ市内に残っているロートレックの生家はこのガブリエルが相続をし、今はガブリエルの孫たちによって所有されています。

MMF:ロートレックはこのボスク城で

多くの作品を描いたのですか。

▲城の広間にあるテーブルとその広間で描かれたロートレックの母親の肖像画の写真

Nicole : ロートレックはこのボスク城にアトリエを持っていたのかという質問をよく受けますが、ここにはアトリエは存在しませんでした。もしアトリエがかつてあったのであれば、そう伝えられているはずですし、その場合はアトリエの再現をして城を訪れる皆さんにお見せしているところです。ロートレックはこのボスク城のさまざまな場所でデッサンをし、さまざまな場所で絵画を描いていました。例えば18歳の時に描いた祖母の肖像画は、おそらくサロンにおいて描かれたものです。室内だけでなく、屋外でも、またサロン以外の部屋でもロートレックは絵筆を握っていたようです。とはいえ、このボスク城では風景画はあまり描かれることはありませんでした。アルビのトゥールーズ=ロートレック美術館のコ

▲ロートレックの家族が馬を走らせたボスク城の前に広がる草原

レクションを見ていただければ分かりますが、ボスクではどちらかというと肖像画が多く描かれ、風景に関してはボスクよりもセレイラン※(Céleyran)で多く描かれています。セレイランでロートレックはぶどうの収穫の風景にとても興味を持っていたようです。彼はとてもオープンな性格で、好奇心が旺盛だったんですね。

※ボスク城と同様にロートレックが幼少期を過ごした城

[ FIN ]

Update : 2011.12.1 文・写真 : 増田葉子(Yoko Masuda)
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ボスク城 Château du Bosc

  • 所在地
    Château du Bosc 12800 Camjac
  • Tel
    +33(0)5 65 69 20 83
  • FAX
    +33(0)5 65 72 00 19
  • 開館時間
    9:00-19:00(要事前予約)
  • アクセス
    Albiから車で約45分

MMFで出会えるボスク城

MMFで出会えるボスク城

日本で出会えるトゥールーズ=ロートレック

  • 三菱一号館美術館
    ロートレックの貴重なリトグラフが揃う
    三菱一号館美術館コレクション<U>
    「トゥールーズ=ロートレック展」
    2011年10月13日(木)〜12月25日(日)
    http://mimt.jp/lautrec2011/

MMFで出会えるトゥールーズ=ロートレック

 

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