3月28日(水)、国立新美術館の開館5周年を記念して開幕した「セザンヌ―パリとプロヴァンス」展。展覧会のチラシやポスターにも使用されている「100%セザンヌ」のロゴマークの通り、本展で出品されている約90点は、すべてセザンヌの作品です。東京でセザンヌ展が開催されるのはじつに、1988年以来のこと。「近代絵画の父」と称されているセザンヌの魅力を思う存分、堪能できる貴重な機会となりました。本展の見どころをお伝えします。
初期の作品から
印象派の影響を受けた風景画まで
今回の展覧会はセザンヌ(Paul Cézanne/1839-1906)の画業を、パリとプロヴァンスというふたつの場所に注目して振り返るというこれまでにない試みです。セザンヌは、故郷であるプロヴァンスで隠遁者のように制作に没頭したというイメージが一般的ですが、じつはセザンヌは生涯を通じて20回以上も、パリとプロヴァンスを行き来しながら創作活動をしていました。展覧会開幕に合わせて来日した本展監修者のドニ・クターニュ氏(フランス国家文化財主任研究官)も「パリとプロヴァンスを同時に考えなければ、セザンヌの全貌は分からない」と語ります。
展覧会の第1章では、故郷エクス=アン=プロヴァンスで描いた若き日の静物画など初期の作品が、また第2章では、印象派展に出品した《首吊りの家、オーヴェール=シュル=オワーズ》や、形態や空間の表現に独自の美学を見いだした風景画などを見ることができます。
傑作群とともにたどる
セザンヌの画業
今回の展覧会は描かれたモティーフ別に章立てがなされているので、作品が描かれた年代はやや前後することがありますが、ほぼセザンヌの画業を時系列でたどることができます。より展覧会を楽しむために、少しセザンヌの生涯を追いながら展示をみていきましょう。
1839年、エクス=アン=プロヴァンスに生まれたセザンヌは、20代前半に画家としての成功を夢見てパリに出ました。当時パリでは、戸外の明るい光の下で制作する印象派の画家たちが、これまでのアカデミーの伝統を打ち破る戦いをしていました。美術界の大きな変革の時を目の当たりにしたセザンヌもまた、印象派の画家たちに感化されながら、独自の絵画を模索する長い戦いの日々を開始します。
「身体」をテーマとした第3章、「肖像」の第4章、「静物」の第5章では、セザンヌが自身の美学を追究していく過程を見ることができます。セザンヌの代名詞のひとつにもなっている「水浴図」、画家を有名画家に押し上げた画商ヴォラールの肖像、そして有名なりんごの静物画など、代表作といわれる作品が次々と登場します。
- 会期
2012年3月28日(水)〜6月11日(月) - 会場
国立新美術館 - 所在地
東京都港区六本木7-22-2 - Tel
03-5777-8600(ハローダイヤル) - URL
http://www.nact.jp/ - 開館時間
10:00-18:00
金曜日:10:00-20:00
*入場は閉館の30分前まで - 休館日
火曜日
*ただし5月1日(火)は開館 - 観覧料
一般:1,500円
大学生:1,200円
高校生:800円
中学生以下:無料
*開催情報は変更となる場合があります。最新の情報は、公式サイト、ハローダイヤルでご確認ください。
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