グラン・パレとグラン・パレ・ナショナルギャラリー
グラン・パレ・ナショナル・ギャラリー(GPNG) GPNG担当部長インタビュー グラン・パレについて
グラン・パレ・ナショナル・ギャラリー担当部長 マガリ・シクシック氏へのインタビュー
過去40年にわたり魅力溢れるあまたの展覧会を送り出している、パリ、グラン・パレ・ナショナル・ギャラリー。グラン・パレが再オープンするこの秋、フランス国立美術連合に管理運営が移行し、ますます企画に期待が高まります。その興味深い企画運営の手法、秋の大きな展覧会について、担当部長であるマガリ・シクシック氏に伺いました。
グラン・パレとナショナル・ギャラリー
グラン・パレ・ナショナル・ギャラリー担当部長 マガリ・シクシック氏 MMF:まず自己紹介と、グラン・パレ・ナショナル・ギャラリーでのあなたのお仕事についての説明をお願いします。

マガリ・シクシック氏(以下MS):フランス国立美術館連合(以下RMN)は、文化省の管轄下にある公共機関です。2005年9月1日付けでRMNは、グラン・パレ・ナショナル・ギャラリー(以下GNGP)の管理運営に直接当ることになりました。GNGPでは、これまでRMN企画制作による展覧会をフランス国内の美術館や国際的文化施設との緊密な協力の下で開催しています。私は、ルーヴル美術館、オルセー美術館の来館者サービス部門、次いでRMNの一般顧客部門、と美術館業界で9年間仕事をした後に、RMNの文化管理部に所属するGNGPの責任者である担当部長に就任し、GNGPの運営を統括しています。
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MMF:GNGPにおいて、RMNは年間4,5本の展覧会を企画制作しています。これらの展覧会は、どのようにして決定されるのですか?また、これから開催される展覧会のテーマの選択は誰が行い、管理運営はどのように行われるのでしょうか?

MS:GNGPは、開館した1966年以来、250本近い展覧会を開催してきました。各展覧会は数年をかけて計画されます。大規模な国際的展覧会になると、その企画運営には少なくとも4年間に及ぶ夥しい作業量が要求されます。
多くは学芸員(時に大学の研究員)によって提出された展覧会の企画案を検討するために、学芸員とRMNのオペレーション・サービス責任者で構成される委員会が定期的に開かれます。取り上げられた提案は、フランス美術館管理総局を通じて文化通信大臣の承認を得る必要があり、GNGPはこの計画について、数年がかりで徐々に計画を作り上げていきます。
GNGPは理事とその補佐によって運営されています。その所轄下には、来館者サービス、文化活動、外部折衝、さらに文化普及をまとめた一般向け部門、保安監視部、技術部があります。当然、RMNの中央局は、この組織の援助を行っています。
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MMF:1993年以来、工事のため大部分を閉館していたグラン・パレは9月17日に再開館します。どのように変わるのかを、GNPGとの関連で詳しく説明していただけますか?

MS:まず明確にしておかなければならないのは、GNPGはグラン・パレという巨大な建物の一部を使用しているだけだ、ということです。現在話題になっているグラン・パレの再開館は、展覧会を間断なく開催してきたGNPGについてではなく、1993年以来閉館していた中央広間についてです。そして、現在もそして過去においても、RMNがこの中央広間を管理運営したことはありません。よって、この中央広間で開催される各種行事について私は何も語ることができませんし、この再開館によって、GNPGが変わることもありません。ただし、非常に待ち望まれていたこの名所の再開館が呼び込む大量の来館者は、確かにギャラリーにも恩恵を施してくれると思いますし、私はそれを望んでいます。
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MMF:当初から年間9ヶ月から10ヶ月間展覧会を開催しているGNPGの来館者は、パリの他の大きな美術館に比べ、外国人、特に日本人が少ないように思えるのですが、外国人来館者を増やす方策を何かお考えですか?

MS:GNPGの一般向け部門は、展覧会の旧来の入場者を固定客にするとともに、これは特に私が言ってきたことなのですが、このような展覧会への新しい入場者、特に外国人観光客と若者を呼び寄せることをその任務としています。私たちがGNPGで開催する、特に古典美術の展覧会という枠の中で、この任務を果すことは思うほど簡単なことではありません。日本の方については、私たちの商業機構である“ミュゼ&カンパニー”が日本の旅行代理店や旅行業者と仕事をしており、国際見本市にも展覧会のプログラムを出展しています。
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MMF:この秋にGNPGで開催される展覧会を簡単にご紹介していただけますか?

MS:2005年10月5日から2006年1月23日まで、「クリムト、シーレ、モーザー、ココシュカ:ウィーン1900年」展が開催されます。1900年前後のウィーンは、熱狂に満ちた芸術の都でした。1900年前後のオーストリア・ハンガリー帝国の首都を代表する4人の画家―グスタフ・クリムト(1862−1918年)、エゴン・シーレ(1890−1918年)、コロマン・モーザー(1868−1918年)そしてオスカー・ココシュカ(1886−1980年)が表現したように、新しい芸術的造形が発展しました。
フランスでは初めてとなる、これらの巨匠たちを扱った大規模な展覧会である本展では、近代的特質誕生の決定的な段階に光をあて、1890年から1918年までのこの4人の芸術家たちの関係について未公開の分析を提示します。肖像画、風景画、歴史画といった伝統的ジャンルから、絵画の根源的改革がどのように行われたのかを展観します。
RMNとオルセー美術館の共同制作、LVMH(モエ・ヘネシー、ルイ・ヴィトン)の協賛により開催されます。

2005年10月13日から2006年1月16日まで開催されるのは、「メランコリー、西洋の天才と狂気」展。メランコリーほど、長きにわたり且つ絶え間なく西洋を支配した精神状態はありませんでした。本展のテーマは、現代人が直面する問題の深奥に迫るものです。歴史から哲学、医学から精神医学、宗教から神学、文学から芸術まで、伝統的に苦悩と狂気を引き起こすメランコリーは、英雄や天才といった偉大さの傑出した人々の気質でもありました。本展では、時代を超えてメランコリーの図像学の壮大なパノラマを展観します。250点以上の作品を通じ、デューラーから、ラ・トゥール、フュズリ、フリードリッヒ、ゴヤ、ドラクロワ、ロダン、ファン=ゴッホ、ムンク、デ・キリコらを経由してピカソまで、メランコリーがどのようにヨーロッパの天才たちを生み出したかを展観します。
RMNとベルリン博物館島との共同制作、パリ、ピカソ美術館の協力を得ています。

所在地
3, avenue du Général Eisenhower 75008 Paris
URL
http://www.grandpalais.fr/
開館時間
10:00-20:00、
水曜日のみ10:00-22:00
(受付は閉館時間の40分前)
※図書室…展覧会期間中10:00-19:15、水曜日は10:00-21:15
休館日
火曜日、1月1日、12月25日
入場料
・事前予約のある方
 一般:11.3ユーロ
 割引:9.3ユーロ(13-25歳)
・事前予約のない方
 一般:10ユーロ
 割引:8ユーロ(13-25歳)
 ※13歳未満は無料
事前予約による優先入場について
鑑賞の48時間以上前に予約すると、予約なしの場合よりも、少ない待ち時間で入場することができます。

オンライン予約が可能なサイト(人数制限で売切れとなる場合もございます):RMNFNAC(英語への切り替え:画面右上のイギリス国旗のアイコンを選択 )

パリはじめ全国に広がるFNAC各店では、直接現金またはクレジットカード払いで予約ができます。

万が一チケットがご予約出来なかった場合、開館直後もしくは夕方以降の時間帯は会場が比較的空いています。

ご不明な場合はMMFにご来館ください。

さらに、carte Sésameのをお持ちの方はグラン・パレ・ナショナル・ギャラリーで開催される全ての展覧会を好きな回数観ることができます。 (一年間有効)
グラン・パレ・ナショナル・ギャラリーの展覧会カタログ
MMFインフォメーションセンターでは、グラン・パレ・ナショナル・ギャラリーで行なわれた1997年以来の主な展覧会のカタログが閲覧可能です。
図録ラインナップはこちら

<展覧会情報>
2011年1/24まで開催中のモネの回顧展「クロード・モネ(1840-1926)」の図録をインフォメーション・センターでご覧いただけます!
数字で見るグラン・パレ・ナショナル・ギャラリー
○開催された展覧会の数
 245回
 ※近年では年4回のペースで開催。
○開館以来の来館者総数
 3,700万人
○年間平均来館者数
 約100万人
○年10ヶ月開館

*情報はMMMwebサイト更新時のものです。予告なく変更となる場合がございます。詳細は観光局ホームページ等でご確認いただくか、MMMにご来館の上おたずねください。