ジャン・コクトー美術館―セヴラン・ワンダーマン・コレクション Musee Jean Cocteau collection Severin Wunderman

セリア・ベルナスコーニ学芸員に聞く

▲セリア・ベルナスコーニ(Célia Bernasconi)学芸員
▲新コクトー美術館の展示室

新コクトー美術館の見どころと
おすすめの鑑賞法

MMF:この美術館をつくるに当たって、どのような来館者を思い描きましたか?

セリア・ベルナスコーニ氏(以下C.B.氏):子どもからお年寄りまで、幅広い層に来ていただきたいと思いました。予備知識はいりません。かならずしもコクトー作品を知らなくても構いません。デッサンや映像を前にして、立ち止まって考えてみたり、あるいはソファに座って解説を読んでみたりと、自由に楽しんでいただければと思います。ここは開かれた自由な美術館です。

MMF:おすすめの鑑賞方法があれば、教えてください。

C.B.氏:この美術館で実現したかったこと、それはコクトーが夢想の中から「オルフェウス」「オイディプス」「スフィンクス」など、さまざまな詩作上のモチーフを見いだしたように、来館者が「詩人の散歩」をできるようにすることです。コクトーが監督した映画『オルフェ』(1950年)の主人公のように、夢の中を歩くようにいろいろな作品に接してください。

▲《ダルジュロス、恐るべき子供たち》(1935年)
©ADAGP
©Serge Caussé,photographe

MMF:順路は一応、時系列になっていますね?

C.B.氏:概ねそうですが、全てではありません。例えば、順路の最初にある子ども時代のコーナーですが、かならずしも初期のデッサンではなく、実際にはずっとあとで描かれたものも混ぜています。なぜかというと、そのデッサンがコクトー少年の育った部屋を想起させたりするからなのです。「オルフェ」「ダルジュロス」など、コクトーが生涯かけて育んだテーマは、テーマごとにある程度まとめてあります。つまり、ひとつひとつ分けられるような時代区分にはとらわれてはいないということです。

MMF:この新美術館は、ヴィジュアルに特化した展示空間といってよいのでしょうか?

C.B.氏:ここは、ヴィジュアル作家としてのコクトーの作品を展示した空間という意味では、フランスで初めての美術館です。日本をはじめ外国では、絵を描くコクトーというイメージが広く知られていますが、フランスでは、学校で教えられるコクトーといえば

▲《オルフェとユーリディス》
(1926年)
©ADAGP
©Serge Caussé,photographe

まず何といっても、詩人、演出家、劇作家、つまり文学者の側面です。描く人であったことは意外にあまり知られていません。ですから、教育的な意味でも、この美術館は私たちにとって大きなチャレンジとなるでしょう。

MMF:結局のところ、コクトーとは何者だったのでしょう?

C.B.氏:コクトー自身がそう言っているように、詩人だと思います。私はその主張にしたがうことが適切だと思います。つまり、何かのデザインをしている時も油絵を描いている時も、映画を撮っている時も、共通する分母はポエジーだからです。

[FIN]

Update : 2012.7.1 文・写真:高橋博(Hiroshi Takahashi)
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ジャン・コクトー美術館―セヴラン・ワンダーマン・コレクション Musée Jean Cocteau collection Séverin Wunderman

  • 所在地
    2, quai de Monléon 06500 Menton
  • Tel
    +33(0) 4 89 81 52 50
  • URL
    http://www.museecocteaumenton.fr
    (現在作成中)
  • 開館時間
    10:00-18:00
    (7、8月の金曜日は22:00まで)
  • 休館日
    火曜日、1月1日、5月1日、11月1日、
    12月25日
  • 入館料
    ジャン・コクトー美術館―セヴラン・ワンダーマンコレクション+要塞美術館:6ユーロ 企画展:5ユーロ ジャン・コクトー美術館―セヴラン・ワンダーマンコレクション+要塞美術館+企画展:8ユーロ

ジャン・コクトー美術館(要塞美術館)Musée Jean Cocteau- Musée du Bastion

  • 所在地
    Quai Napoléon III
    Bastion du Vieux Port 06500 Menton
  • Tel
    +33 (0)4 93 57 72 30
  • 開館時間
    10:00-18:00
  • 休館日
    火曜日、祝祭日
  • 入館料
    3ユーロ
  • アクセス
    〈マントンまでのアクセス〉
    鉄道ではパリ・リヨン駅(Paris Gare de Lyon)からニース駅(Nice Ville)までTGVで約5時間40分。
    空路ならパリのシャルル=ド=ゴール(Charles-de-Gaule)空港、またはオルリー(Orly)空港からニース(Nice Côte d'Azur)まで約1時間半。
    ニース駅からマントン駅(Gare de Menton)までローカル線で約30分。
    ニース空港からマントン市内まで約40km、車で約40分。
    〈美術館までのアクセス〉
    ふたつの美術館はマントンの海岸道路『プロムナード・ド・ソレイユ』の終端、同じ海浜公園内にある。マントン駅から約1.5km、車で約7分、徒歩約20分。
  • さらに、もうひとつの
    コクトー美術館
    2010年には、パリから南へ約50kmのミイ・ラ・フォレにも、もうひとつのコクトー記念館がオープンしました(http://www.jeancocteau.net)。ここでは、死の半年前にコート・ダジュールを去ったコクトーが最後の日々を迎えた家の様子が再現され、養子のエドゥアール・デルミット(Èdouard Dermit/1925-1995)が寄贈した約500点の遺品とともに一般公開されています。
  • MMFで出会えるジャン・コクトー
    B1Fインフォメーション・センターでは、ジャン・コクトーの関連書籍を閲覧いただけます。

*情報はMMFwebサイト更新時のものです。予告なく変更となる場合がございます。詳細は美術館ホームページでご確認いただくか、MMFにご来館の上おたずねください。

 

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