フランス北部のノール=パ・ド・カレー地方の都市ランス(Lens)に、2012年12月、待ちに待ったパリのルーヴル美術館の分館が開館しました。1月の特集でご紹介したように、ザビエ・デクト(Xavier Dectot)館長が「宝石箱」と例える四辺形が連なる形の建物は、日本の設計事務所SANAAによるもの。今月は、まさに宝石と呼べるパリ・ルーヴルの珠玉の作品が集うルーヴル・ランスの展示をご案内します。
パリ北駅からTGVで約1時間15分の場所に位置するランスは、かつて炭鉱の町として栄えたことで知られています。ルーヴル・ランスの建つ20haの広大な土地は、1960年に閉山された炭鉱の跡地。炭鉱の閉鎖に伴い活気の失われた土地を、まったく異なる形でよみがえらせることになったのが、このルーヴル・ランスのプロジェクトです。重要な文化施設の創設によって地域に経済的な活力を取り戻すこと、またパリのルーヴルのコレクションが多くの新しい観客に出会うこと、それがこの一大文化事業の重要なコンセプトとなっています。
パリからTGVで1時間10分ほどのランス駅に降り立つと、駅前からは美術館へとつながる遊歩道が続いています。この遊歩道は過去に炭鉱と駅を結んで炭を運んだ軌道の跡を利用したもの。地域の歴史との調和をはかりながら、ルーヴル・ランスのプロジェクトは進められました。
遊歩道を15分ほど歩くと、広々とした庭園の向こうにモダンな建築物が見えてきます。ガラスと金属のコンポジションが美しいこの建築は、日本の建築家ユニットSANAAの妹島和世(Kazuyo Sejima)氏と西沢立衛(Ryue Nishizawa)氏によって手掛けられました。エントランスホールは明るく、とても開放的な印象。円状に仕切られたガラス張りのスペースに、ブティックや図書館が入っています。
エントランス中央部の階段を下りれば、ルーヴル・ランスの「舞台裏」、すなわち収蔵庫の様子をのぞくことのできる部屋へとやってきます(収蔵庫の見学は事前に要予約)。ここには最新のタッチパネル式の装置が設けられており、ルーヴル所蔵の美術作品のルーツや修復について詳しく学ぶことが可能です。またルーヴル・ランスでは、各展示室にメディエイターと呼ばれる複数の美術ガイドを常駐させているのが特徴。学生でもボランティアでもなく、ルーヴル・ランスの正規の館員である彼らに、来館者は自由に展示作品について説明を聞くことができます。ルーヴル・ランスでは、こうしたランスならではの方法で、ルーヴルの魅力を伝えることに力を注いでいます。
- 所在地
6 rue Charles Lecoq BP 1162301
Lens cedex
*美術館入口:la rue Pal Bert または
la Rue Georges Bernanos 62300 Lens,
France - Tel
+33 (0)3 21 18 62 62 - URL
http://www.louvrelens.fr/ - 開館時間
10:00-18:00
*夜間開館日:9〜6月の第1金曜 - 休館日
火曜日、5月1日 - 入館料
・大ギャラリー(Grande galerie)と
パヴィヨン・ド・ヴェール
(Pavillon de verre):
2013年末まで無料
・企画展ギャラリー
(Galerie d'exposition temporaire):
一般9ユーロ、割引8ユーロ
・オーディオガイド:無料
・年間パスポート:15ユーロ
(25歳以下は10ユーロ) - アクセス
パリ、Gare du Nord駅より電車で
約1時間10分、Lens駅下車
ランス駅前からルーヴル・ランス専用の無料送迎バスあり
- B1Fインフォメーション・センターでは、ルーヴル・ランスの関連書籍を閲覧いただけます。
*情報はMMFwebサイト更新時のものです。予告なく変更となる場合がございます。詳細は美術館ホームページでご確認いただくか、MMFにご来館の上おたずねください。
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