


2008年秋から3回にわたりMMFでは、ピカソをはじめとした多くのアーティストを魅了した南仏のミュゼレポート2008をお送りしてきました。そして2009年の幕開けを飾る新年の特集は、フランスの新たな文化、芸術都市として注目を浴びている北フランスを取り上げます。ルーヴル・ランス美術館の開館を2012年に控え、2008年2月の公開以来フランスで大ヒットを記録した映画「Bienvenue Chez les Ch'tis(シュティの人々の地へようこそ)」の舞台になるなど、いま話題のフランス北部の魅力と、点在する個性豊かな美術館を2回連載でご紹介します。


▲リールの街の華やぎを伝える広場「グラン・プラス」。
OT Lille / © Don Muschter
OT Lille / © Don Muschter
この地方の中心都市はパリから約200km離れた首府リール。ベルギーのブリュッセルにはTGVでわずか40分、ロンドンへは約1時間40分ほどで到着することができます。そして、フランスの初代大統領、シャルル・ド・ゴール(Charles-de-Gaulle)の生地としても知られるこのリールは、1985年、当時のギリシアの文化大臣メリナ・メルクーリ(Melina Mercouri)の提唱で始まった「ヨーロッパ文化首都」(Capitale de la culture européenne)に、2004年フランスで初めて指定された都市でもあり、ルーヴルに次ぐ国内で第2の規模を誇るミュゼ、リール美術宮殿も街の誇りとなっています。

▲4年にわたる改装工事を経て1997年6月に再オープンしたリール美術宮殿。
© maxime dufour photographies
© maxime dufour photographies

▲地下はおもに中世、ルネサンス絵画、1階はブールデルを中心とした彫刻作品や陶器、2階はゴヤやモネ、ルノワール、ピカソらが並ぶ展示室がある。
© Claire Masset
© Claire Masset
そして、この街にさらなる魅力が加わるのは、3年後の2012年。地方分権対策の一環として、パリのルーヴル美術館の分館の創設計画が持ち上がったのは2003年のことですが、その翌年、立候補した6都市の中からリールからほど近いランスにルーヴル・ランス美術館が建てられることが決定したのです。ヨーロッパの交通の要衝に位置するランスには、現在パリから1時間10分ほどで到着できるTGVの駅の建築も計画されています。パリとフランス北部の都市ランスで、ルーヴル美術館の“はしご”という豪華なアートツアーの実現も間近です。
取材:日向倫子(Michiko HYUGA)

- パリからTGVで北へ1時間ほどに位置するノール=パ・ドゥ・カレー地方の首都。ドゥール川に囲まれた土地に拓かれたことから、フランス語で島を意味するリール(Lille)と名付けられた。各国から視察に来るという無人地下鉄が走る未来都市的な側面もあるが、近年旧市街も完全に改修され、新旧の美しい景観を楽しむことができる。
- Office de tourisme de Lille(リール観光局)
http://www.lilletourism.com/

(2012年オープン予定)


- URL
北フランスには、今回ご紹介した美術館のほかにも「ラ・ピシーヌ、ルーベ工芸美術館」など、多くの美術館があります。MMFのB1Fインフォメーション・センターにて関連図書を閲覧いただけます。

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