ニエプスの生まれ故郷シャロン=シュル=ソーヌから車で南に10分のサン=ルー=ド=ヴァレーヌという小さな村には、ニエプス一家が夏を過ごすための別荘がありました。世界初の写真≪ル・グラ★からの視点≫はこの邸宅の一室で撮影されたのです。現在、この家はパリの私立写真学校スペオス(Spéos)運営のもと、ニエプスが過ごした19世紀初頭の状態に復元され、2004年から一般公開されています。
![]() © Gaillarde / Maison Nicéphore Niépce |
![]() © Pierre-Yves Mahé / Maison Nicéphore Niépce |
★ル・グラとはニエプス家の別荘の名前

© Demange / Maison Nicéphore Niépce
スペオスの学長を務めるピエール=イヴ・マエ(Pierre-Yves Mahé)氏は、ニエプスが≪ル・グラからの視点≫の撮影に成功したこの家が1999年に貸しに出されるとすぐ、ニエプスの記念館にすることを思いつきます。彼が最初に試みたのは、ニエプスが生きていた19世紀初頭の状態に家を完全に復元することでした。ニエプスの専門家であるジャン=ルイ・マリニエ(Jean-Louis Marignier)氏の助けを得て、書簡や19世紀の家の設計図と照らし合わせながら復元作業が進められていきました。
ニエプスの現存する唯一の写真≪ル・グラからの視点≫は一体どこから撮影されたのでしょうか――。研究熱心なマエ氏とマリニエ氏の調査は、このニエプス邸に存在するありとあらゆる窓からの景色を撮影することから始まりました。そして、コンピューター上で実際の白黒のイメージと彼らが撮影した景色を照合させていきました。どの景色もぴったりと当てはまるものはありませんでしたが、わずかに位置はずれているものの、家の2階部分から撮影したものは非常によく似たものでした。そこで、該当する窓の調査をさらに進めると、ニエプスの時代には、その窓は70cmほどずれた位置にあったことが判明したのです。
![]() © Musée Nicéphore Niépce |
![]() © Harry Ransom Center and J. Paul Getty Museum |
150年以上眠り続けた写真のラボが2007年にマエ氏により発見されました。このラボは、19世紀にシャロン=シュル=ソーヌの市長を務めた写真家ジョセフ・フォルチュネ・ぺティオ=グロフィエ(Joseph Fortuné Petiot-Groffier)の所有した実験室で、1855年に彼が亡くなってから手付かずの状態で残っていたのです。300個以上のフラスコや1830年以前に出版された400冊以上の蔵書は、現在、ニエプスの家に展示されています。
- 所在地
2 rue Nicéphore Niépce 71240 Saint-Loup-de-Varennes - Tel
+33(0) 3 85 94 84 60 または
+33(0) 1 40 09 18 58 - 開館時間
<6月中旬〜9月初旬のみ>
水曜〜日曜 10:00-19:00 - 休館日
月、火曜日 - 入館料
一般:6ユーロ
子供:3ユーロ - アクセス
パリ・リヨン駅からTGVでシャロン=シュル=ソーヌ駅下車。タクシーでサン=ルー=ド=ヴァレーヌまで10分。
- インフォメーション・センターでは、ニセフォール・ニエプスの家の図録やパンフレットを閲覧いただけます。

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