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モネの作品を訪ねるフランスの旅 オルセー美術館とマルモッタン美術館が選ぶ モネを知るための名作
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モネ《アルジャントゥイユのレガッタ》1872年頃
©Photo RMN/H.Lewandowski/digital file by DNPAC

 サロン等の公的な文化活動にはまったく受け入れられず、モネは困難な日々を送ったが、1870年にロンドンで知り合った画商ポール・デュラン=リュエルの支えを得ることができた。デュラン=リュエルは1872年、モネがパリやロンドンのさまざまな展覧会に出品したなかから29点の作品を購入しているほか、何人もの芸術愛好家にモネへの関心を植え付けている。とはいえ、1872年においてもそれに続く年月においても、最も良くモネを支えたのは友人たちであった。エドゥアール・マネはモネから何枚もの絵を購入しているし、その少し後1876年にギュスターヴ・カイユボットはこの《アルジャントゥイユのレガッタ》を入手し、1894年に国家へ遺贈している。
 今回、国立新美術館の大モネ展に出品されている《アルジャントゥイユの小舟》と異なり、この作品におけるプチ・ジュヌヴィリエの名で知られる景観地の岸辺の描写は、夏の太陽が照りつけるなかで鮮やかさを増した色の階調、ひときわ見事な筆触、複数の区域からなる構図によって特徴づけられている。実際、空と水とが画面を等分しているにせよ、光り輝く明るい緑を主調とした中央の部分は、右の岸辺と家々、帆だけがはっきりと判る左のヨットとともに、一つひとつ独立した、しかしときに重ね合わされることもある長い筆触で終始描かれ、光の反映のたわむれによる美しい構成に変化を与えている。このように揺れ動く水面に光が反射するさまを描く手法はある種のオランダ絵画にも見られるが、以後モネ作品の特徴となっていき、《印象、日の出》(1872年、マルモッタン美術館、パリ)においては大々的に用いられている。



2007年4月7日から6月2日まで新東京国立美術館で開催中の「大回顧展モネ 印象派の巨匠、その遺産」のカタログより抜粋。
( オルセー美術館並びに、同展主催者の承諾のもと掲載。)
同カタログは、MMFブティックにてお求めいただけます。
 
   
   
   
   
   
   
 

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