サヴィニャック作品を所蔵するフランス国内のパブリック・コレクション

 

フランス国立図書館(リシュリュー館) 版画写真部門

▲版画写真部門の資料室
©BnF

 パリにあるフランス国立図書館の版画写真部門では、114点のサヴィニャックのポスターを保管しています。中でも珍しいのが、サヴィニャックがフランス映画のために制作した数々のポスターです。通常、図書館の利用は研究者に限られていますが、今回は特別にMMFのwebサイトで、それら貴重な作品の一部をご紹介しましょう。

 不透明な不倫関係を題材にしたベルトラン・タヴェルニエ(Bertrand Tavernier/1941- )監督の映画『甘やかされた子どもたち(Des enfants gâtés)』(1977年)、子どもたちの滑稽な争いを描いたイヴ・ロベール(Yves Robert/1920-2002)監督の映画『わんぱく戦争(La Guerre des boutons)』(1962年)、環境破壊の不安を背景にしたロベール・ブレッソン(Robert Bresson/1901-1999)監督の映画『たぶん悪魔が(Le Diable probablement...)』(1977年)などなど。これらのポスターをひと目見れば、サヴィニャックがいかに見事に映画の世界観を表現しているかが分かります。

▲フランス国立図書館(リシュリュー館)
 
 

装飾芸術美術館 広告部門

 サヴィニャックのポスター約210点を保管するパリの装飾芸術美術館の広告部門(旧広告博物館)は、19世紀末のパリで活躍した“ポスター王”ジュール・シェレ(Jules Chéret/1836-1932)やトゥールーズ=ロートレック(Toulouse-Lautrec/1864-1901)から、現代の巨匠サヴィニャックまで、フランスの広告ポスターの歩みをたどることのできるユニークな場所です。ここでは、歴史の大きな流れの中で、サヴィニャックというひとりの偉大なアーティストを概観することができるでしょう。

▲ポスターの画像を閲覧できるメディアテーク

 残念ながらポスターは常時展示されていませんが、さまざまな企画展を開催しているので、貴重な作品を目にするチャンスもあることでしょう。また、展示室入り口に設けられているメディアテークへは自由に出入りすることができ、パソコンの画面上で美術館が所蔵するサヴィニャックのポスターを閲覧できます。コレクションの中でとくに注目なのが、フランス国内外の企業から依頼された商業用ポスター群です。アメリカの週刊誌『ライフ(Life)』 (1958年)や、イタリアの新聞『イル・ジョルノ(Il Giorno)』(1956年)のポスターなど、現在ではあまり見ることのできない作品群です。もちろん「エールフランス」や「マギーブイヨン」など、サヴィニャックの代表作となったポスターも多数所蔵されています。

▲装飾芸術美術館
  • 所在地
    107 rue de Rivoli 75001 Paris
  • Tel
    +33 (0)1 44 55 57 50
  • URL
    http://www.lesartsdecoratifs.fr/
  • 開館時間
    11:00-18:00
    *木曜日は21:00まで開館
  • 休館日
    月曜日
  • 入館料
    企画展:9ユーロ(割引料金:7.5ユーロ)
    *メディアテークへの入場は無料
  • アクセス
    地下鉄1番線・7番線Palais Royal - Musée du Louvre駅より徒歩
 

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Update : 2011.7.1 文・写真:依田千穂(Chiho Yoda)
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