
© La Cité internationale de la dentelle et de la mode
1980年代に社会学・人文科学的観点から、産業遺産に歴史遺産としての価値を見出す傾向が表れると、ノール=パ・ドゥ・カレー(Nord-Pas de Calais)地方でもカレーのレース産業が見直されるようになります。カレーには1966年以降、美術とレースの2部門を擁する美術館が存在しましたが、レースに特化した内容の博物館の構想が練られ始めたのはこの頃のことです。カレーのレース産業について改めて詳細な研究がなされ、同時に新たなコレクションの収集も精力的に行われる中、1990年代後半、市はのちに博物館の建物となるブラール兄弟のレース工場を買い取りました。
そして2006年からその工場の改築工事が始まりました。19世紀当時のレンガ造りの工場に、ガラス張りの新しい建築部分が増築され、工場という本来飾り気のない建物に、モダンでシックなイメージが加えられました。ガラスのファサードに、機械編みレースのシンボルともいえるジャカール機のパンチカードの文様が、シルクスクリーンで施されているのが特徴です。
レース・モード国際センターの常設展で、いちばんの見どころは、見学コースのちょうど中央部に設けられたレース製造のアトリエでしょう。ここには実際に工場で使用されていた5台のレース編み機が集められており、専門の技術者たちによるデモンストレーションを見ることができます。リバー(Leavers)社をはじめとした巨大なレース製造の機械で、滝のように張られた白い糸に細かなモチーフが織られていく様子は、間近で見るととても迫力があり、スペクタクルと呼んでもよいほどです。ここでは機械を動かす技術者から直接話を聞いたり、質問したりすることもできます。
編み機のデモンストレーションに続くのは、デザインやパンチカードの穴開け、ボビンへの糸の巻き付け作業など、レース製造の各ステップを紹介するアトリエです。さまざまな種類の器具が展示されており、実際の作業風景はマルチメディアの映像で鑑賞することができます。機械工業でありながらも、製造過程には人の手を使った細かな作業が多く、レース製造が職人技を要する仕事であったことがうかがえます。
博物館ではこのような見学型の展示に加え、実際にレースに触れることのできるプログラムも用意しています。アーティストとともに手編みレースに挑戦したり、レースを使用した装飾を作ったりと、クリエイティブな内容のものが中心です。こうした体験型のプログラムが充実しているのは、産業をテーマとした博物館ならではの魅力でしょう。
- 所在地
135 Quai du Commerce
62100 Calais - Tel
+33(0)3 21 00 42 30 - E-mail
cite-dentelle@mairie-calais.fr - URL
http://www.cite-dentelle.fr/ - 開館時間
〈4月1日〜10月31日〉
10:00-18:00
〈11月1日〜3月31日〉
10:00-17:00 - 休館日
火曜日 - 入場料
一般:5ユーロ
割引料金:2.5ユーロ
〈企画展〉
一般:5ユーロ
割引料金:2.5ユーロ
〈1日券〉
一般:8ユーロ
割引料金:4ユーロ - アクセス
パリGare du Nord駅よりTGVで約2時間。Calais Ville駅下車
- B1Fインフォメーション・センターでは、レース・モード国際センターの関連書籍を閲覧いただけます。

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