
博物館のレースのコレクションの展示は、16世紀から19世紀にかけての手編みレースの紹介から始まります。機械編みのカレーのレースは、いかに手編みに見劣りしない製品を作り上げるかが最大の課題でした。つまり、このセクションはカレーのレースを深く知るためにも重要です。
ここでは木製のボビンや針を使用したレースなど、技術に関する展示のほかに、衣装をはじめとした実際のレースの使用例を年代順に辿っています。女性的なイメージの強いレースですが、16世紀や17世紀にはむしろ男性の装いに頻繁に使用されていました。仕上げまでにたいへんな時間を要した手編みレースは贅沢の象徴であり、身に着けることで自身の富や権力さえ示すことができたのです。
手編みレースのギャラリーに続くのは、イギリス人が始めたカレーにおけるチュール、レースの機械工業の歴史を辿る展示です。ここでは19世紀から20世紀にかけて作られた、カレーのさまざまな種類のレース製品の見本を見ることができます。時とともに機械の性能も改良され、20世紀初頭には手編みと変わらない緻密さでエレガントな文様のレースが仕上げられるようになっているのに注目です。
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博物館のモード部門のギャラリーでは、19世紀から現在までの洗練されたデザインの世界が広がっています。イヴ・サンローラン(Yves Saint Laurent)、ディオール(Dior)、シャネル(Chanel)、ジヴァンシィ(Givenchy)といった高級メゾンのドレスや装飾品など、カレーのレースを使用した華やかで魅惑的なモードの数々が集められています。時代とともに服飾のスタイルが変わりゆく中、ドレスから下着まで、レースが巧みに女性のシルエットを引き立てる様子は思わずうっとりと見入ってしまう美しさです。
それに続くのは、レースの〈現在と未来〉をテーマにした、博物館の展示を締めくくるセクションです。ここでは5つのミニ・ラボラトリーの展示で、繊維の発明やその技術について触れるなど、ほかのギャラリーとは異なる切り口でレースを取り上げています。さらに〈レースの効果〉と題して、レースのアラベスク模様からインスピレーションを受けた現代アーティストの作品の展示を行っています。
椅子、テーブル、オブジェ、ドレスなど、分野を問わないさまざまな素材の作品すべてが、レースの繊細な編み目を思わせるデザインをまとっているのが特徴です。伝統的なレースが現在のデザインにひらめきを与えている様子は、レースが現在と未来を繋ぐことも暗示しているかのようです。
[FIN]
- 所在地
135 Quai du Commerce
62100 Calais - Tel
+33(0)3 21 00 42 30 - E-mail
cite-dentelle@mairie-calais.fr - URL
http://www.cite-dentelle.fr/ - 開館時間
〈4月1日〜10月31日〉
10:00-18:00
〈11月1日〜3月31日〉
10:00-17:00 - 休館日
火曜日 - 入場料
一般:5ユーロ
割引料金:2.5ユーロ
〈企画展〉
一般:5ユーロ
割引料金:2.5ユーロ
〈1日券〉
一般:8ユーロ
割引料金:4ユーロ - アクセス
パリGare du Nord駅よりTGVで約2時間。Calais Ville駅下車
- B1Fインフォメーション・センターでは、レース・モード国際センターの関連書籍を閲覧いただけます。

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