ポンピドー・センター 大解剖 ポンピドー・センター フロアマップ 異邦人画家が集った パリのカフェ ポンピドー・センター 館長インタビュー ポンピドー・センター 館長インタビュー
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去る1月21日、東京・六本木に国立新美術館がオープンしました。
その開館記念として開催され、話題を集めているのが、
ポンピドー・センター所蔵作品展『異邦人たちのパリ1900〜2005』。
MMFでは、今展覧会のコミッショナーを務めたポンピドー・センター学芸員の
ジャン=ポール・アムリン氏にお話をお伺いし、同展開催の舞台裏や出品作セレクトのポイント、
さらには日本の芸術家たちが近代芸術に与えた影響などについて語っていただきました。
▲国立新美術館の外観。
金曜日は夜20時まで開館。
MMF: 現代美術の展覧会で、特にインスタレーションに関しては、アーティストから直接教わることも多いのではないですか?
J-P A: 確かに、作品を理解するためにはとても助けになります。しかし、アーティストに現場に来てもらわずとも、インスタレーションを設置できなければなりません。アーティストは同時にあらゆる場所にいることはできませんから。今日では、アーティストたちは、同じ町に留まらないことも多いのです。以前はパリにやってきたら、そこが「終着点」でした。60年代のアーティストもそうで、現在でもその多くがパリに暮らしています。1980年代から、アーティストはパリに5年、ベルリンに5年、ニューヨークに5年というように複数の都市を移動するようになりました。ですから、インスタレーションをやり直すためにベルリンやニューヨークからパリに戻ってくるということはありません。
インスタレーション作品を購入する際には、通常アーティストに詳細な「設置方法」を書いてくれるように頼みます。技術的なやり方や、その人が使用している視聴覚機材を含めたものです。確かに、常にそれですべてが明確になるわけではありませんが、幸いにも、私たちのチームには最初にインスタレーションを設置した際にアーティストと直接話した人たちがいますので大丈夫でした。
 
MMF: 日本の芸術家の作品も展覧会にはたくさん出品されています。彼らが20世紀の近代美術にもたらしたものについてお話ください。
J-P A: 日本の芸術家はかなり早い時期、19世紀にはもうパリに来ています。同時に、19世紀末にはオリエンタリスムの動向とともに、フランスで日本に対する関心が高まりました。例えば、アールヌーヴォーはそうした日本に対する関心から生まれたものです。
日本人の芸術家のなかには、フジタのようなスターもいました。フジタはモンパルナスに暮らし才能を磨きました。その技法や洗練された表現はフランスでとても高く評価されていました。フジタ以降もその流れは続きます。例えば、戦後パリで活躍した作家、堂本、今井、菅井といった作家に私は関心を持っています。彼らは、日本の身振りによる表現に対する関心が高まった時期にパリにやってきました。アメリカのポロック(Jackson Pollock)だけでなく、フランスでもアレシンスキー(Pierre Alechinsky)やマチュー(Georges Mathieu)らが身振りによる表現に関心を持っていた時期に重なったため、日本人の画家たちはそのまま受け入れられました。書道の知識や東洋の身振りを教えてくれるかもしれないという期待があったのですね。
1960-65年頃には、極東、特に日本人アーティストのヨーロッパに対する関心と、フランスに拠点をおくアーティストの極東に対する関心のピークが訪れました。アレシンスキーは日本に行った際に日本の画家たちが仕事をするのを見て、地面に画布を置いて描くようになりましたし、日本に暮らし柔道を教えたクライン(Yves Klein)も、日本で多くのことを学びました。こうした日仏間の文化交流が私には一番興味深く思われます。
 
MMF: パリに戻って、次に担当する展覧会は何ですか?
J-P A: グラン・パレでの「フィギュラシオン・ナラティヴ」の展覧会です。1960年代パリの芸術家を対象にした展覧会で、エドゥアルド・アロヨ(Eduardo Arroyo)やエロ(Gudmundur Erró)など外国人作家も多く展示する予定です。2008年3月に開催されます。
 
インタビュー:バンジャマン・ヌーヴェル
2007年2月9日、メゾン・デ・ミュゼ・ド・フランスにて
日本語訳:阿部明日香
 
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Update: 2007.5
ジョルジュ・ポンピドー 国立芸術文化センター
所在地
 
75191 Paris Cedex 04
Tel
 
+33(0)1 44 78 12 33
URL
 
http://www.cnac-gp.fr/
開館時間
 
11:00-22:00
美術館および展示室:
11:00-21:00
(カウンターは20:00まで)
アトリエ・ブランクーシ:
14:00-18:00
図書館:12:00-22:00(平日)、11:00-22:00(土、日曜日)
休館日
 
火曜日、5月1日
入館料
 
受付、カウンター、および当日プログラムにて案内。
美術館は18歳未満および毎月第一日曜日は無料。
アクセス
 
メトロ ランビュトー(Rambuteau)、オテル・ドゥ・ヴィル(Hotel de Ville)、シャトレ・レ・アル(Châtelet-les Halles)各駅下車。
  ポンピドー・センター所蔵作品展 「異邦人たちのパリ1900〜2005」  
国立新美術館のオープン記念展覧会。国内最大級規模、14,000m2の展示室に、ピカソやシャガール、モディリアーニ、藤田嗣治ら、20世紀初頭のパリに集まった外国人画家の絵画をはじめ、写真家ブラッサイやマン・レイの作品など、ポンピドー・センターが誇る所蔵品が結集する。
会期
 
2007.2.7-2007.5.7
会場
 
国立新美術館
所在地
 
東京都港区六本木7-22-2
Tel
 
展覧会に関するお問い合わせ
03-5777-8600(ハローダイヤル)
展覧会URL
 
http://www.asahi.com/
pompidou/
開館時間
 
10:00-18:00
※但し、金曜日は20:00まで
(入館は閉館の30 分前まで)
休館日
 
火曜日(但し5/1は開館)
観覧料
一般:1,500円
大学生:1000円
高校生:800円
中学生以下無料
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