2010.3.2(火)

アラン・フレシェール氏に会ってきました!

映画、小説、造形芸術、写真という多彩な分野で活躍、また、ル・フレノワ国立現代アート・スタジオ(Le Fresnoy)の創設者としても知られる、フランス人アーティストのアラン・フレシェール(Alain Fleischer)氏が来日しました!
今回の来日は、東京日仏学院で彼の映画や写真、インスタレーションを紹介する企画「アラン・フレシェールとル・フレノワ国立現代アート・スタジオの軌跡 Fleischer / Le Fresnoy」(3月31日まで)のためです。

MMFのお気に入りレポート第一弾として、MMFスタッフ(T)がフレシェール氏に今回の企画について取材してきました!

前日来日されたアラン・フレシェール氏
T:
今回が初めての来日ですか?
F:
日本には、横浜での展覧会や名古屋美術館での映画撮影、ル・フレノワについてのシンポジウムなどでたびたび来ています。
T:
さまざまな映像作品を制作されてきましたが、どのようにこれらの作品を選んだのですか?
F:
これらは映像作家として僕の代表的な作品です。実験的な映画、有名な俳優が出るフィクション、ドキュメンタリー、美術や美術館に関するドキュメンタリー…なかでも、日本人の方々にとってなるべく理解してもらえるように、英語字幕の作品を中心に選びました。
『動物園ゼロ』(1977-78年)と『揺れ動く世界』(2000年)
© Droits réservés
T:
美術館のドキュメンタリーとはどういう作品ですか?
F:
たとえばルーヴル美術館のドキュメンタリーは1993年の美術館創立200周年にあわせて撮ったもの、グランド・ギャラリーをテーマにした作品や、《1作100秒》という題名でルーヴルの所蔵作品を1作100秒で紹介したものもあります。ルーヴル以外にも、ポンピドー・センターの30周年を記念した映画、シャンティイ城やリール美術宮殿など。現在はルーヴルの別館として開館されるルーヴル・ランス(Louvre-Lens)、ルーヴル・アブダビ(Louvre Abou Dabi)をテーマに制作をしています。また、美術館だけではなく、芸術家もよく取り上げています。ロダン(Auguste Rodin)、ボルタンスキー(Christian Boltansky)、クロソウスキー(Pierre Klossowski)、カロ(Anthony Caro)など。
実は、僕が撮るドキュメンタリーはすべて「美術」に関係しているんです。
T:
なぜ美術館を撮るのですか?
F:
美術館から依頼されて撮ることが多いのですが、もともと「作品」と、それが展示されている「空間」との関係に強い関心があったからです。ポンピドー・センターを初めて撮った時も、内装がちょうど入れ替わるときを狙いました。作品とその展示場所について追求したかったからです。
T:
ル・フレノワはどんな施設なのでしょうか?
F:
ル・フレノワは近代テクノロジーを取り入れた美術教育・実験・展示をあわせた複合施設です。フランスとベルギーの国境近くのトゥルコワン(Tourcoing)市内にあった大衆娯楽施設を、スイス人建築家ベルナール・チュミ(Bernard Tschumi)によって改築しもので、近代のテクノロジーを用いたメディア・アートを専門にした施設として1997年にオープンしました。世界45カ国から学生が訪れ、日本人学生は創設当初からいます。
T:
日本についての感想をお聞かせください。
F:
日本にはさまざまな街がありますが、そのなかでも東京は非常に興味がある街です。ありとあらゆる建造物が建ち、ひしめき合って、一見とても繁雑で調和がないように見えますが、僕にはその雑然とした景色のなかにも、ひとつの「調和」を感じます。なぜって、日本の建物にはひとつひとつに「特徴」があり、「顔」があり、それぞれの個性が表れているからです。それはなにも有名な建造物に限ったことではなく、どこにでもある普通な建物やビルにもいえることです。とても魅力的ですね。
T:
日本人の作家で興味のある人、影響された人はいますか?
F:
写真家の田原桂一は古くからの友人ですし、荒木経惟は一緒に作品を制作したこともあります。一緒に、フランス人建築家のジャン・ヌーヴェル設計によるマドリードのホテルの内装を飾る写真を依頼されたことがあります。そして、作品《劇場》で有名な杉本博司も印象的ですね。写真以外にも、日本映画には非常に興味があります。パリの映画館で観た新藤兼人や黒澤明、小津安二郎監督の作品にはとても影響されました。
T:
最後に、あなたにとって作品を造るとは?
F:
作品作りは実験だと思っています。まだ見たことのないものを発見するための「試み」なのです。
 
フレシェール氏の写真やインスタレーション作品は今月31日まで!
どうぞお見逃しなく。
 
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