2011.7.1(金)
屋外で楽しむ写真展。
夏の到来を肌で感じる展覧会です。
東京日仏学院。ここでは現在「『ベールを脱ぐイヴ・サンローラン』−ジャンルー・シーフによるポートレート展」が開催されています(7月31日まで)。
今日はこの展覧会のオープニングの様子をレポートいたします。


フレンチレストランなどが多くある飯田橋・神楽坂あたりはフランスの方も多く住み、「東京のなかのフランス」といった雰囲気があります。そのフランスを象徴しているとも言えるのがここ日仏学院です。敷地内には緑が多く、晴れた日曜日にはここでくつろぐ親子連れの姿なども見受けられます。ここではフランス語を学習する他にも、コンフェランスに参加したり、図書室でフランスの書籍を探したり、レストランで食事したり、といろいろなかたちでフランスの文化に触れることができます。
フランスのクリエイターの作品の企画展示など、アート関連の展示も定期的に校舎2階のスペースで開催されていますが、今回のこの写真展は展示規模も開催期間も通常の企画展よりもかなりの規模の大きさを感じます。
今年4月から6月までドキュメンタリー映画「イヴ・サンローラン」が公開され、彼の作品や人物にまた注目が集まったのは記憶に新しいところですが、今回の写真展はその映画にも登場していた、サンローランの生涯のパートナーであるピエール・ベルジェとシーフ夫人バーバラさんの協力により実現したものです。
ジャンルー・シーフ(Jeanloup Sieff 1933−2000)はパリとスイスで写真を学んだ後、21歳でフォトグラファーとしてのキャリアをスタートさせました。その功績によりレジオンドヌール・シュバリエ勲章の栄誉に輝き、『VOGUE』、『ELLE』など数々のモード誌で活躍、モノクロ写真の白と黒の織り成すフォルムと美にこだわり続け、独自の世界を築きました。
今回の展覧会ではイヴ・サンローランのポートレートとその他の貴重なコレクションの中から日本未公開のモノクロ写真32点が、日仏学院の中庭と校舎2階に展示されています。

その是非をめぐって2010年まで公開されませんでした。
館内に入ると中央階段の踊り場では白を基調にした映像が頭上から投影されるなど、モノクロームの白と黒を活かした展示内容になっています。
展示作品の中には若かりし頃のシャルロット・ランブリングのポートレートもあり、その写真の美しさと被写体の美しさ双方に思わず足が止まりました。




そうこうしているうちに中庭でのオープニングレセプションの時間になり、東京日仏学院院長のロベール・ラコンブ氏のスピーチが始まりました。「イヴ・サンローランのファッションの革命的な部分とジャンルー・シーフの革命的な作品には共通するものがあり、この展覧会は、偉大なる写真家と偉大なるファッションデザイナーとの共演である。そして展覧会はピエール・ベルジェとバーバラ夫人の全面的な協力によって実現したものである。」とコメント。その熱い語り口により、会場の雰囲気は一層熱気を帯びていきました。

また、キュレーターの太田氏による「写真を室内で見る楽しみと、こうして屋外で写真を見る楽しみの二つを是非味わっていただきたい。」というコメントに改めて納得した展覧会でした。




本展は、1971年に発売されたオーデトワレ「YSL プール オム」の広告ビジュアル用にジャンルー・シーフが撮り、当時のモード界に大きな衝撃を与えたサンローラン自身のモノクロのポートレートを中心に、写真家の妻でありミューズでもあったバーバラが厳選するコレクションを日本初公開しています。
フランスでも昨年パリ市立プチ・パレ美術館にて開催されたイヴ・サンローランの回顧展で展示されるまでは、一般に公開されたことがなく、大きな話題となりました。
[FIN]

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