2010.4.1(木)

今回はスタッフUが渋沢史料館で現在開催されている企画展「渋沢栄一とアルベール・カーン〜日仏実業家交流の軌跡」に行ってきました。そのレポートをお届けします。

東京都北区の飛鳥山。王子駅を抜け、飛鳥山公園の中を歩いて行くと、数分で渋沢史料館に着きます。
入口では等身大の渋沢栄一氏がお出迎え。読者のみなさん、今回の企画展をご覧になる際は必ず入口で「ボンジュール」とおっしゃってください。入館料が割引になります。

渋沢栄一氏のオブジェがお出迎え。

そして企画展に行く階段の下にあるこの塔をお見逃しなく!両脇に回って注意深く見てください。中に面白い仕掛けがあるのです!何があるのかは、ここでは秘密です。是非読者のみなさんの目で確かめてみてくださいね。

この塔の仕掛けをお見逃しなく!

ここで、アルベール・カーンについて簡単にご紹介します。カーンは1860年にフランス●アルザス地方生まれ。(そうです、今年はカーンの生誕150周年なのです。)彼は苦学の末に、銀行家として成功を収めたのち、実業界で活躍しました。そして、「世界の人々がお互いを理解することは平和の基礎になる」 という志のもと、カメラマンを育成・派遣してフランス国内や、日本をはじめ世界約60ヵ国の様子をカラー写真と映像で記録しようとする「地球映像資料館」計画に尽力しました。

アルベール・カーン肖像 ©Musée départemental Albert-Kahn, France

彼は1909年から1931年までの間に世界中にカメラマンを派遣し、各地の様子を天然色写真(オートクローム)と映像で記録しているのです。なんと、その写真の数は約8万枚、記録映像は100時間にも及ぶそうです。今回は、記録する際に実際に使用されたルイ・ヴィトン社製の80年前のカメラバッグも見ることができます。ルイ・ヴィトンファンの方は見逃せません!

ルイ・ヴィトン製カメラボックス(1929年)
©Musée départemental Albert-Kahn, France

また、今回の展覧会では、およそ100年前に撮影された、日本・アメリカ・ヨーロッパなどの世界の様子が楽しめます。当時の海外の写真が興味深いのはもちろんですが、昔の日本、とりわけ東京の写真はとても興味深いものです。「この写真の通りは、今はどのあたりだろうか」とか「昔はこういう建物だったんだね」など、思わず会話が弾みます。

日本(東京駅)1926年 ©Musée départemental Albert-Kahn, France
フランス1918年 ©Musée départemental Albert-Kahn, France

また、この企画展では、パリ郊外ブローニュ=ビヤンクールにあるフランス・オードセーヌ県立アルベール・カーン美術館についてもご紹介しています。この美術館に関しては、私たちMMFのサイトの中にも紹介記事がありますので併せて是非お読みください。

そして最後になりますが、渋沢栄一氏のご紹介をしましょう。彼は1840年に現在の埼玉県深谷市に生まれ、(今年は生誕170周年です。)1867年に徳川昭武使節団の一員としてパリ万国博覧会を訪れています。帰国してからはその経験を生かして、何と500社にのぼる株式会社、銀行などの設立、経営指導に尽力しました。(その社名を見ていると、いかに現在の経済の基礎に彼が関わっていたのかがわかり、本当に驚きます!)また、国際親善や民間経済外交、社会公共事業などにも積極的に取り組んだそうです。

渋沢栄一氏の偉業に関してはお隣の常設展でじっくりと見ることができます。常設展で理解を深めてから企画展を見たほうが、アルベール・カーンと渋沢栄一が生きた時代と、二人の交流について、より楽しんで理解できますのでおすすめです。文中でも触れましたが、アルベール・カーン生誕150周年、渋沢栄一生誕170周年のこの記念の年に開催されている今回の展覧会は、とても貴重な展覧会です。

渋沢栄一肖像 ©Shibusawa Memorial Museum
今回の展覧会の様子。

この企画展は5月5日まで。期間中はちょうど桜の季節ですね。この公園は桜の名所でもあり、江戸時代からの桜が見事な花を咲かせるそうです。
お弁当を持ってゆっくりお散歩をしながら展覧会を見る。都心の喧騒から少し離れて、気持ちの贅沢を感じられる場所です。

飛鳥山公園。
 
 
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