2015.10月 取材
京都国立博物館、「琳派 京を彩る」展。
2015年、京都の秋は琳派の華が満開です。
今年も残すところ2ヶ月少しとなりました。今年の美術の世界では、「琳派」が一つのキーワードであったことは間違いありません。そんな琳派の歴史において記念すべき2015年を締めくくるにふさわしい展覧会と言っても過言ではない「琳派 京を彩る」展が始まりました(10月10日〜11月23日)。10月のMMM講座の講師もつとめていただいた河野元昭先生(京都美術工芸大学学長)が監修をつとめていらっしゃるこの展覧会をさっそく訪問いたしました。


展覧会はまず琳派の祖である本阿弥光悦に関する展示から始まります。本阿弥光悦の坐像は本当に小さなものですが、そのふくよかな笑顔は本阿弥光悦の人柄に対する想像をかきたててくれるものです。作品展示のため展示室の照明が暗めに設定されており、なかなかうまくお顔の表情まで撮れなかったのですが、ぜひ作品はお顔を覗き込んで観てください。光悦の家職は、刀剣の手入れや鑑定でした。この家職がのちの光悦の審美眼に多大な影響を与えたと言われています。

伝本阿弥光甫作

本阿弥光悦作 東京国立博物館所蔵
(10/10〜11/1展示)

《重文 鶴下絵三十六歌仙和歌巻》
本阿弥光悦書・俵屋宗達絵
京都国立博物館
今回の展覧会のクライマックスは何と言っても、やはり風神雷神図屏風と言えるでしょう。弟子を取って継承していくスタイルではなかった琳派。敬愛する先輩の作品を模写することで同じテーマの傑作が複数誕生しています。風神雷神図屏風の2作品はそういった琳派の特徴を示す一番の作品例と言えるでしょう。

俵屋宗達筆 京都・建仁寺所蔵

尾形光琳筆 東京国立博物館所蔵(10/10〜11/8展示)
展覧会の目玉とも言えるこの風神雷神図屏風は、100年ごとに降臨する宗達・光琳・抱一というスーパースターの3作品が期間限定で展示されます。酒井抱一の作品は10月27日から展示されています。3者の風神雷神図屏風を眺め観るという贅沢な観方ができるのも記念すべき今年だからと言えます。

尾形乾山作 東京・サントリー美術館所蔵

永田友治作 京都国立博物館所蔵

酒井抱一下絵・原羊遊斎作(10/10〜11/1展示)

酒井抱一筆
千葉・国立歴史民俗博物館所蔵(10/10〜11/1展示)
経済的に豊かであった町衆たちから発生した琳派。実際に使われ、生活の中に根付いた文化だからこそ400年経った今でも私たちを魅了し共感させる琳派の作品。
「定義のないもの、それが琳派。」河野先生のお言葉を借りればこれが琳派の唯一の定義とか。記念すべき年だからこそさまざまな展覧会でその作品に触れることができる幸運な今年、ぜひ作品を観に展覧会に足を運んでみてください。
[FIN]

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