2016.4月 取材
時空間を超えたその美しさ。
「フランス国立図書館 体感する地球儀・天球儀展」開催中です。
BnF(フランス国立図書館)。パリで訪れたことがあるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。一番新しい「フランソワ・ミッテラン館」はセーヌ河のほとり、パリ南西部のBercyという地にまさに本を開いた形をして建っており、ある種のランドマーク的存在とも言えます。BnFは全体で所蔵点数4,000万点を誇る世界屈指の図書館。その中の地球儀・天球儀のコレクションは、まさに世界有数のコレクションです。そのコレクションから代表的な55点をDNP大日本印刷が独自の技術を用いて3Dデジタル化。それのデータの公開方法の一つとしてこの展覧会は開催されています。
展覧会は9月まで開催されていますが、途中で展示作品が替わるため、5月22日でいったん前期の展示が終了します(後期は6月3日より開始)。
前期の展示の目玉はヨドクス・ホンディウスの地球儀と天球儀。巨匠フェルメールの名作《物理学者》と《天文学者》に描かれている対の作品です。

アムステルダム、
オランダ/1600年/47×50cm/紙・印刷
《ホンディウスの天球儀》(右)

この展覧会は「本物の作品」を見ることができるだけでなく、作品をデジタル技術でさまざまに楽しむことができることが何よりの魅力。地球儀や天球儀の画像を360度回してみたり、興味ある部分を自分の思うままに拡大してみたり、作品解説をフランス語や英語の解説で読んでみたり、と思い思いに見たい作品と向き合って時間を過ごすことができます。



ジェム・アルエディン・モハメッド・イブン・モハメッド・エル=ハシミ・エル=メキ
1573年、メッカ、サウジアラビア
直径12cm
銅・エッチング

展示室で地球儀と天球儀の美しさを堪能した後は、ホワイエで更にデジタルによる鑑賞システムを楽しみましょう。
展覧会をご覧になる前に「そもそも地球儀ってどうやって作るのですか」という疑問を持つ方が多いようですが、そのような疑問にお答えすべく、ホワイエの最初の展示では「地球儀の作り方」の解説が展示されています。




さらにはヘッドマウントディスプレイによって、天球儀の中心に立って360度見渡せる空間に自分が入り込んだような体験もすることができるコーナーがあり、ここはいつも人気です。その天球儀が作られた時代の天空をまさに体感しているような感覚を楽しむことができるのです。天球儀が天球を外側から、いうなれば「神様の視点」で見るのに対し、「球体の中心にいる自分が見上げている天空」を感じます。




なかなか見る機会のない地球儀と天球儀のコレクション。ぜひ前期も後期も併せてご覧ください。
後期は16世紀ドイツの大銀行家が作らせた1点ものの名作《ヴェルザーの地球儀》を中心とした作品を5点展示する予定になっています。
観覧は予約制なのでゆっくりと観覧することができます。無料で観覧することができますのでぜひ地球儀と天球儀の美しさを体感しに出かけてみませんか。
外部施設などでの出張イベントも今後予定しています。イベントなどの詳細は
http://www.museumlab.jp/bnf/
でご確認ください。


デジタルコンテンツならではの体感型展示は、子供から大人まで、幅広い層にお楽しみいただける内容で、大勢の方にご来館いただいています。本国フランスでも一般公開されていない、歴史的に貴重な本物の地球儀・天球儀が見られるのもまたとない機会です。前期・後期で作品が全て入れ替わりますので、ぜひ前後期ともお運びください。予約が満員になる日もありますので、お早目の予約をお勧めいたします!
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