2015.4月 取材
「ムルロ工房と20世紀の巨匠たち‐パリが愛したリトグラフ」展。
20世紀の芸術家たちによって伝説的な存在として語られた版画工房の世界が広がります。
千葉県佐倉市にあるDIC川村記念美術館。化学メーカーのDIC株式会社がその文化活動の一つとして、関連グループ会社と収集した美術品を公開するために1990年にこの地に建てられました。


常設展ではレンブラントをはじめ、モネ、ルノワールやピカソなどの西洋絵画の名作が多数ある他、ポロックやステラなどのアメリカの作家の大作も多数展示され、みごたえのある内容となっています。
今回「ムルロ工房と20世紀の巨匠たち-パリが愛したリトグラフ」展(5月12日まで)は2階の奥の展示室で開催されています。
ムルロ工房とはパリでシャンパンのラベルや広告を製作していた印刷所でしたが、1930年のルーヴル美術館で開催された「ドラクロワ展」のポスターで注目を集めたことがきっかけとなり、芸術的なリトグラフ工房へと発展したのでした。第二次世界大戦後にはピカソやシャガール、ミロやコクトーといった世界を代表する芸術家たちがこの工房でリトグラフの可能性をさまざまに探っていきました。今回はその芸術家たちの作品や資料が約200点並びます。
「リトグラフについて知りたければムルロ工房の作品を見なくては」と、フランスである芸術家から言われたことがあります。その言葉を聞いて以来、この展覧会を心待ちにしていました。まさにその言葉通りの展覧会です。リトグラフで広がる美しい世界を是非お楽しみください。





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DIC川村記念美術館 学芸員 横山由紀子さんからのコメント
18世紀末に考案されたリトグラフ(石版画)は、効率的な印刷の方法としてヨーロッパに広まりました。ムルロ工房も印刷所として運営されており、工房の一角でピカソがリトグラフを制作している時も、別の場所ではラベルやパッケージを印刷していたそうです。印刷と芸術の両方に使われたリトグラフの特徴が表れているのが、リトグラフ入りの雑誌や書籍、リトグラフで刷られたポスターなどです。リトグラフ作品のほか、制作工程を再現した動画や、約100年前から使われていたプレス機のアンティークな美しさにもご注目ください。
DIC川村記念美術館の詳細はこちらから↓
http://kawamura-museum.dic.co.jp/
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