2016.5月 取材
日本初公開 奇跡の壁画「世界遺産 ポンペイの壁画展」。
日伊国交樹立150周年記念「世界遺産 ポンペイの壁画展」が、東京六本木の森アーツセンターギャラリーで開催中です。約2000年前の火山の噴火により、時代を一瞬にして閉じ込められたポンペイの町。ポンペイと近郊の町で発掘された壁画約80作品を通じて、古代ローマの人々の暮らしに思いを馳せることのできる展覧会です。
展覧会の構成は、「1章 建築と風景」「2章 日常の生活」「3章 神話」「4章 神々と信仰」です。章ごとに見ていくことで、壁画に描かれるモチーフが建築物から神話をテーマにしたものに変遷していくことを知ることができます。展示されている壁画の中には、イタリア国外に持ち出されたことがほぼ皆無の門外不出の作品もあります。 漆喰に描かれたモチーフの色合いの美しさ、想像よりはるかに大きい壁画のスケールに圧倒されます。
今回の展覧会の見どころのひとつは、カルミアーノの農園別荘です。ポンペイの南の方角に位置するグラニャーノのカルミアーノ地区で発見された農園別荘の食堂を飾っていた壁画です。壁画というと壁の一面を飾るものという印象がありますが、この壁画は壁面全体が一連の空間として再現されているので、展示空間に立って壁面全体を見渡すと、当時の豊かな暮らしぶりを想像して楽しむことができます。
そしてもう一つの見どころは、アウグステウムから発見された壁画です。過去一度を除いては、イタリア国外に持ち出されたことのない貴重な作品です。ローマの皇帝を崇拝するための建造物アウグステウムにあった《テセウスのミノタウルス退治》《赤ん坊のテレフォスを発見するヘラクレス》《ケイロンによるアキレウスの教育》の3点の壁画は、他の壁画に比べても段違いに大きく、技術的にも優れている壁画です。1739年に発見された時に、発掘者たちは「神のごときラファエッロ」の作品になぞらえて賞賛したそうです。
大作以外にも、多くの親しみのもてるモチーフの壁画が展示されていますので、お気に入りの一枚を探しに、展覧会に足を運ばれてはいかがでしょうか。

MMMライブラリでは、この「世界遺産 ポンペイの壁画展」の図録をご用意しております。展覧会の予習・復習にもぜひお役立てください。
【ギャラリートーク スケジュール】
場所:森アーツセンターギャラリー
@5月20日(金) 14:30〜 / 16:00〜 / 17:30〜 3回開催
講師:宮下規久朗氏(神戸大学教授)
A5月27日(金) 14:30〜 / 16:00〜 / 17:30〜 3回開催
講師:芳賀京子氏(本展監修者、東北大学准教授)
B6月9日(木)14:30〜 / 16:00〜 / 17:30〜 3回開催
講師:池上英洋氏(東京造形大学教授)
※いずれも集合場所は「世界遺産 ポンペイの壁画展」展示室入口となります。
※いずれもギャラリートークに参加するための再入場はできません。
※いずれも聴講は無料ですが入館料は別途必要です。
※上記時間帯、多くのお客様に聞いていただくため、マイクで解説いたします。
【展覧会・巡回情報】
日伊国交樹立150周年記念「世界遺産 ポンペイの壁画展」
森アーツセンターギャラリー 4月29日〜7月3日
名古屋市博物館 7月23日〜9月25日
兵庫県立美術館 10月15日〜12月25日
山口県立美術館 2017年1月21日〜3月26日
2017年4月以降、福岡へ巡回予定
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